「なあなまえ?今日はバレンタインだ。ならオレの言いたい事はわかるな?オレ様にさっさとチョコを出しな。オレはチョコドーナツじゃ我慢できねぇんだよ!」
「いや、あの…」
「何だよ…!まさか、オレにチョコはねぇって言うんじゃねぇだろうな?」
「……ごめんなさい、そのまさかです」
M様が、フリーズした。サングラスの奥の目は見えないけどとりあえず固まってる。え、悪かったかな?でも忙しかったんだよね色々…。
「昨日わざと皆の見守りせずにどんなチョコ持ってくるか楽しみにしてたのによ…!おまっ、そりゃねぇだろ…!」
「あの…ホントごめんなさい…。M様人気者だから貰ってるでしょうし忙しかったので…」
「買うぐらいして貰えると思ったのによ…!な、なのに…全くないって、まるっきりないって……うわーんバレンタイン爆発しろー!」
ここで「なーんて☆実は持って来てましたー♪」と言いたいところなのだけどあいにく冗談のつもりではなく本気で何も用意してない。そりゃM様が甘党なのは知ってた。むしろ周知の事実だ。だから他にも絶対誰か持ってくる。じゃあ私は忙しいからパス。まあ流れはこんな感じだ。まさか爆発しろとまで言い出して、椅子を壊してしまう程荒れるなんて…。本気で悪い事をしてしまった。
「あー、買って来ましょうか。そこのコンビニでよかったら」
「コンビニィ?なまえさ、マジオレ様の事嫌い?オレ様は確かにジュディ、マリィ、それにミミニャミからお情けで貰ったさ。けどぜーんぶ突き返してやったんだぜ。喜んで食べてやがったけどアイツら。んで、オレは待ってたワケ、チョコを。なまえから貰えれば充分だって思いつつね。なのにこの扱いはひでーんじゃねーの?」
ぶすー、と膨れっ面になるM様に何とかしようと考える。
「ああそうだ。チョコはまあ明日かなんか貰うとして、今日はなまえを頂くとすっかなー?なあなまえ、そのぐらい、してくれるよな?いや、するよな?」
なまえ、と大人姿になったM様に艶のある笑みで低く呼ばれた。でも内心はけっこう怒ってるっぽい…。罪悪感はあるので従ってみる事にする。
「言っとくけど、チョコ貰うまで許さねぇから」
M様が創造の神でよかった。破壊神なら多分殺られてた。
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珍しく裏っぽいカンジ
12.02.01
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