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「今日はバレンタインだったか」


突然ナカジ君が普段の彼からして出ない様な言葉を漏らした。一体どうしたんだろう。
らしくない、なんて思っていつつこの日一番らしくないのは私だと思う。だって作ってきてしまった、チョコレートを。ナカジ君にだけではないけど、本命という名目でナカジ君のだけ妙に張り切って作ってしまった。


「ないのか、チョコ」
「……ある、よ?」
「あるのか」


そう、本命がある。思い切って本命だと言って本命を渡してしまうか。それとも普通に渡してしまうか。いや、自分から切り出す勇気はないけれど。


「寄越せ」
「え、いる?」
「ああ、寄越せ」


くれ、と言う様に手を差し出す彼のチョコをカバンの中を探り、見つけだした私はそのまま彼の手にそのチョコを置いた。渡すと言うより、置く。彼は受け取ると、そのチョコを見つめ始める。


「…チョコだな」
「うん…チョコだよ」
「聞いていいか?」
「何?」
「ありきたりだが義理か本命か答えてくれないか?」


ここはきっと素直に本命だよ、と答えれば私に嬉しい展開が待ってるはずだ。だってありきたりだけど耳が赤い。何だ、両思い、か…。なら言ってしまおう。


「…本命、だよ」


なら受け取る、とナカジ君がチョコを食べる。自分が寄越せって言ったのにね。





―――

クーデレナカジが好きです




12.01.30



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