イベント部屋 | ナノ



“年ぐらいふたりで越さねぇか?”
そんなメールが今さっき届いた。送信者は一応私の彼氏の南沢篤志先輩。月山に転校してあまり会わなくなったのだけど、時々こうやってメールが来る。


「“中学生ふたりで、はちょっと生意気すぎやしませんか?”、っと。親の目を掻い潜れってんのかあの人は」

“それでもなまえと一緒にいたい”

「メール返信早っ!え、えと…」


突然鳴るチャイム。携帯画面から顔を上げると母が私を呼んだ。


「来たぜ、なまえ」
「み、南沢先輩!?」
「あ、もしかしてなまえの彼氏…?よかったじゃない行ってきなさいよっ」


ほらほらと背中を押され、半ば追い出された感じの私はまず寒かった。こんな冬空の下、上着を持たせずに外に出すか!?


「あー、ホラなまえ、上着上着」
「取りに行かせる時間を与えなかったんでしょうが!携帯も」


必要最低限のものを持った私は南沢先輩に向き直る。


「……で?」
「俺ん家来るか?」
「あのー、南沢先輩相手だといまいち危険な気がするのですが…」
「いいじゃねぇか。行く年来る年見ながら年越ししようぜ」
「南沢先輩が観てるなんて意外」
「ま、保証はしないけど」
「やっぱり拒否します、嫌、絶対嫌」


そう言わずにまたも押しきられて来てしまった南沢先輩の家。ってか近っ。


「何かあったら逃げ出せばいい。お前ん家近いだろ?」
「やめて南沢先輩!本当南沢先輩が言うとシャレになんないから!」


付けられたテレビに映る行く年来る年。やはり私は今年もこれを観て年を越すのか。でも違うのは隣が南沢先輩だって事。そして食べてるそばがカップ麺。南沢先輩がわざわざお湯を沸かして作ってくれた。これぞ3分クッキングだとかどや顔で言って。


「エロみ沢先輩」
「誰だエロみ沢って」
「南沢先輩の事。南沢先輩ご両親は?」
「何だよ挨拶する気だったのか?」
「違う…、多分。南沢先輩、私年越しならやりたい事あるんです」
「やりたい事?」
「年越した瞬間、私は地上にいなかった」
「アホか」


そうこうしてカップ麺をすすり終えた只今の時刻23時55分。新年最初の言葉は何にしようだとか色々考えていたら南沢先輩の熱い視線に気がついた。


「南沢先輩?」
「なまえ、こっち来いよ」
「やっ、やだやだ!なんかこういう時のエロみー危ない!」
「いいから。じゃないとお前の想像通りの事するぞ」
「そ、それはもっと嫌!な、何もしない…?」
「お前の態度しだい」


不信感を持ちつつ南沢先輩に近づくと南沢先輩に抱き寄せられた。


「ホラ、カウントダウン始まった」


南沢先輩、いやエロみ沢先輩の言う通り10からカウントダウンは始まって。


「エ、エロみー!」
「5、4、3―…」


テレビと共にカウントする南沢じゃなくエロみ沢先輩はニヤニヤと笑うだけで全く私の話を聞いてない。

――ゴーン………

テレビから聞こえる除夜の鐘の音が新年を告げる。


「密着しながらの年越し成功。なまえ、好きだぜ」
「み…っ、南沢先輩それ反則!」


皆様、あけましておめでとうございます





―――

南沢先輩が何回仙道さんになりそうになったやら…




12.01.02



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