イベント部屋 | ナノ



※連載主人公



今日は12月25日。皆様お気づきですね、クリスマスです。


「あの、仙道さん。今日クリスマスですね」
「そういやそうだね」


仙道さんの部屋でクリスマスは過ごす予定です。周りの友達に笑顔でリア充爆発しろ!と言われてしまいましたが爆発しませんでした。よかった。


「なまえ、お前夜まで俺の家にいる気かい?」
「はい。その…仙道さんとの初めてのクリスマスなので…」
「…どうなっても文句言うなよ?」
「え?何ですか仙道さん?」
「いいやなんでも」


微妙に近くない距離。でも私はふたりきり、なんていうこの状況がどうにも恥ずかしくて近寄り難いです。仙道さんもいつも通りな訳でして…。


「ツリー、飾りませんか?」
「…まあいいか。どうせアイツらも興味なんて示さねぇしな」
「アイツら…?」
「親だよ、親。ほら、飾らないのかい?」
「飾ります飾ります!」


そして置かれた小さなツリー。


「わ、可愛い」
「これで満足かい?」
「ほらジョーカー、ツリーだよ」


カバンに入れてたジョーカーをツリーの横に立てるととてもよく似合っていた。


「ふふ、何だか恋人待ってるみたいです」
「ずっとひとりかよ」


言いながら少し寂しそうな仙道さんにうっ、と詰まる。


「せ、仙道さん!私には仙道さんがいます、だから…」
「俺にもなまえがいる、だろ?お前が言いたい事って。本当、単純だねぇ」


小さな音を立てて仙道さんカラーの黒いジョーカーが私の白いジョーカーの隣に置かれる。しっかり手まで繋いじゃって…。


「黒い恋人…」
「くだらない事言うね…。LBXまでリア充か、全国のひとりが泣くな」


気がつけば私と仙道さんの距離はかなり近くて。ふたりでジョーカーを覗き込んでいたからこんなに顔が近いのだけれども。正直、キスもした事のない私には混乱を誘うものでしかない。


「ジョーカー、幸せそうですね」
「…俺たちより、よっぽど距離が近いんじゃないか?」
「うう、仙道さんにドキドキしっぱなしで近寄れないんですよ…!」
「俺のせいで、ねぇ。ちょっと抱きしめさせろ」
「どうしてそうなるんですっ!?」
「不覚にもお前の言葉に反応させられたからだよ。こっち来い」


おずおずと近寄ると腕を引かれて一気に距離を縮められた。私は仙道さんの腕の中で仙道さんとこんなに距離が近くて仙道さんはとってもいい匂いで…!っておかしいでしょ私!考えただけで頭がどうにかなりそうだ。ちょっと打ち付けて来ようかな?


「仙道さ…っ、な、何でそんなに余裕たっぷりなんですか…!?」
「……ハァ。ホント、馬鹿だねぇなまえ。余裕に見せてるだけに決まってるだろ?聞こえてねぇとは言わせないよ、俺の心音」


押さえつけられる私の頭。本当だ、早い。でも…苦し…、
ようやく放される頭。咳き込みはしないけど目一杯空気を吸い込む。


「…誘ってんのかなまえ?」
「は…、はい…?」
「何でもない。もう夕方だねぇ」
「あっ、チキン買いに行かなきゃです!」
「あるよ。お前が来るだろうから買っておいた」


チキン欲しさに顔を上げれば仙道さんがあるからまだ収まってろ、と言う様に腕の力を強くする。そしてふたり同時に来るメール。おかしくて私は思わず吹き出した。


「仙道さん…、こ、このままでメール見ましょうか…?」
「ああ。ホラお前のCCM」
「あ、お姉ちゃんだ」


ふたりもふたりでふたりきりのクリスマスを楽しんでいる様だ。カズがトナカイの格好なのには何も言わない。


「アイツら俺をひとりだと思ってやがる。今彼女上げてるから無理、っと」
「え、え!?」
「風間と森野だよ。アルテミスの」
「あ、ああ…」
「何だよその青島カズヤ!トナカイって…やるねぇお前の姉さん」


クスクス笑う仙道さん。いつもならときめくだけで済むけれどなにしろ今の距離が距離だ。破壊力が半端ない。


「せせ、仙道さんっ、い、いい加減ご飯の用意…!」
「お前が来る前に作ってある。豪華にしといたよ」
「あ、ありがとうございます…?」


もう一度私のCCMを覗き込んで仙道さんはニヤリと笑う。あれ?いつもの笑いだ…。


「なまえ」
「はい?」


私と仙道さんの距離はゼロで。顔の距離までゼロにされた。そう、要するに。初めてのキスを今ここでしている、訳でありまして。
それと同時に聞こえるカメラのシャッター音。


「姉さんたちがそんな写メなら俺たちはこれにするか、なまえ」
「…! せ、せせせせ仙道さん!?あ、あのっ、あのあの…っ、キ、キ…!」
「やっと、できたな」


ふたりになったらしたかった、と恥ずかしそうに反らされた視線。私はまだ混乱中で。それはもしや、ずっと私とキスをしようとしていただいたという事でよろしいですか?とおかしな答えを返してしまった。


「やっと決心ついたしね」
「う…、私の心の準備はどうなるんですか?」
「お前は待ってたらいつまで経っても動けないタイプだからね。俺が動いた方がいいだろ?」


なんて綺麗な笑みを浮かべるんだろう。仙道さんの満足そうな笑顔は何回も見ているはずなのに今日はとても綺麗だった。思わず見惚れていると仙道さんがCCMを弄っている。キョロキョロとジョーカーを見たけど動いてない。勿論Mk-2もナイトメアも飛び出して来ない。


「仙道さん、もしかして…?」
「ああ、俺の喜びを風間と森野と青島カズヤに送りつけた」
「ひやあああ!何してるんですか仙道さん!ってあ、メール…」


見ればお姉ちゃんからかなりからかい混じりのメールが。ああああ恥ずかしい…。クリスマスキスって何ですか!そのまんまですか!


「今日は泊まってくだろ、なまえ?」
「は、い…」


私の肩に顔を埋めた仙道さんにどうなっても知らない、なんてのは来て最初に警告したからな?なんて言われてしまって。再び混乱した私は夕飯楽しみですなんて返した気がする。





―――

クリスマスなのでデレ多めの攻め攻め仙道さん




11.12.26



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