「あ、なまえ。ゴメンねこんな日にまで…」
「い、いえ…」
クリスマスなのにフワフワと周りにゴーストたちが飛び交うこの人はエンジュジムジムリーダーマツバさん。ゴースト使いのジムリーダーも大変だ。
「ム、ムードぶち壊しでゴメンね?」
「大丈夫ですよ!承知で付き合ってますからっ」
「うん、君みたいな理解ある娘が彼女でよかった」
ふわりと笑われるとキュン、と胸が高鳴る。
「ほら、お前たちも戻って?今夜は僕となまえだけにしてよ」
シュン、とうなだれるゴーストポケモンたちは各々ボールに戻っていく。ゴメンね?と頭を撫でるとニコニコと笑い返してくれた。
「やっぱり、ゴーストたち可愛いですね」
「…僕は、なまえの方が可愛いと思うけどな」
「なっ、なに言ってるんです!」
「クサかった?」
お茶目に笑うマツバさんと私は言ったらおしまいかもしれないけどバカップルに分類されると思う。けど今はそれが幸せで仕方ない。
「エンジュはやっぱりイルミネーションなんてないからコガネにでも行こうか。フワライド!僕となまえをコガネまで」
さ、なまえちゃん、と手を差し出してくれるマツバさん。私がその手を取るとフワライドは浮上し始める。
「エンジュも上から見ればそこそこ綺麗なんだけど…、なにしろこういう和、って感じの街だからクリスマスにはなかなかね…。でも僕はやっぱり好き、だな」
「ふふ、私もですよ」
コガネに降り立つと街は完全にクリスマスムードだった。
「あっ!マツバさん、向こうクリスマスツリーありますよっ」
「ハハ、じゃあ行こうか、なまえ」
フワライドをボールに戻してマツバさんは私と手を繋ぐ。これだけで幸せを感じる私はきっと末期。
「マツバさん、素敵ですね」
「うん。やっぱりクリスマスならコガネだね」
こっち向いて、なまえ?とマツバさんが言う。見上げていた顔をマツバさんへ戻すとマツバさんが私の頬へ手を置く。あ、キスされる。
「メリークリスマス、なまえ。来年も一緒にいよう」
そう言ってキスをされる。私も同じ気持ちです、そう思いを込めて私はマツバさんに抱きついた。
―――
雪は降ってません
11.12.25
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