イベント部屋 | ナノ



「なあお前ら。なまえは何をもらったら喜ぶんだ」
「リーダー、何でアタイらに聞くんだよ」
「いや、身近にいたから」


そう今日はクリスマスの前日、クリスマスイブなのである。なのに決まらないプレゼントの内容に郷田は悩まされていた。いくら考えても出てこない彼女が喜ぶもの。今日こそはと意気込んだものの全くいい案が浮かばなかったのである。今日もダメだともう明日だぞ!?と焦る郷田を後目に無情にも時というものは流れていくのであって。今日が通り過ぎるのはまだもう少しある筈なのに焦っている人間には見えないものである。


「どうすんだよ俺…!」


そう嘆く郷田の他にも嘆く人間が。そう、郷田の彼女、なまえである。


「リコちゃんに知るかアンタらなんてって返されちゃったよー!ああもうどうすんの、どうすんの私!フラレるの!?」


完全にテンパっているなまえにも時間は見えていなかった。郷田さんの好みを教えてくれないですか?とメールしたにも関わらず返ってきたのはさっきなまえが口にしていた内容。実に絶望的である。直接聞けばいいのにサプライズにしたいだとか考えるのはやはり相手を思うが故なのだろうか。


「指輪は重い…、よな?」
「とうとうメンテナンスグリスしか思いつかなくなってきた…!」


ばったり出会うふたり。お互い目を見開く。


「お、お久しぶりです…」
「な、何だよそれ…。ま、まあ…、よお」


曖昧な笑みを交わすふたり。目を反らしつつお互いに意を決して言う事にした。


「悪ィんだけどよ、なまえって何が欲しいんだ?俺あんまりプレゼント選びとか得意じゃなくてよ…」
「え、郷田さんも?」
「“も”、って…。なまえも悩んでたのか?」


ふたりで苦笑いすると途端におかしくなってきて、ついに吹き出す。


「私は、今日と明日…、郷田さんとイルミネーションが見れれば充分です」
「じゃあ俺も…、なまえといれりゃ充分だな」


やっと自然に笑い合ったふたりは手を繋いでゲーセンへ。結局はいつも通りで満足していたふたりなのだった。





―――

ちょっとクリスマスからそれましたごめんなさい




11.12.22



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