イベント部屋 | ナノ



今日は寒い。彼もきっとマフラーを巻いて歩いている筈。私も彼にプレゼントしたのと色違いのマフラーを巻いて街を歩いていた。


「…くしゅっ、」
「今日は冷えんな」


くしゃみをして下げた顔を上げると私の色違いのマフラーを巻いた六さんがいた。


「六さんっ」
「今日は俺は知らない特別な日らしいな」


MZDが言ってたぞ、と六さんは私を見る。今日はクリスマス。M様はロマンチックな事が結構好きだから六さんにもあの笑みを浮かべながら教えたのだろう。


「何かよく知らねぇが、恋人と祝うのが俺達にゃ普通だとかアイツが言いやがるから帰ってきた」


ほら、と手を出される。嬉しくなって六さんの手を取れば優しく握り返される。


「くりすます、だったか?」
「そうですクリスマスです。恋人にプレゼント送ったり…。実は六さんに贈ったそのマフラーも、ちょっと早いクリスマスプレゼントのつもりだったんです」
「…悪ぃ、全く知らなかった」
「六さんは侍だから当たり前ですよ」


眉を寄せてまっすぐ前を見てずんずんと進む六さんはきっと私のこと(ちょっとアバウトすぎ?)を考えてくれているんだろうな、なんて考えるとにやけが止まらない。


「気持ち悪ィ笑いしてんなよ。こちとら真剣なんだ」
「お気持ちだけで嬉しいですって」
「借りは返すモンだ」


ふと六さんは何か思いついたのか眉間の皺をきれいになくし、ぐいぐいと私の腕を引っ張り始めた。


「六さん?い、いきなり何ですか…!?」
「いいから黙ってついて来い」


連れて来られた場所はこれまで何回か来た事のある六さんの自宅で。


「六さん…?」
「ちょっと待ってな」


いつもの居間に通されて六さんは他の部屋に行ってしまう。
畳の上にぽつんと座った私はする事もないので縁側まで出て六さんのお庭の眺めていた。


「おい、冷えるぞ」


六さんに居間まで連れ戻された私はそこに座れと言う六さんに従って大人しくまた畳の上に座った。


「これ、やろうと思って」
「あ、アンクレット?」
「俺の前使ってた奴で悪いけどな。また俺は行っちまうと思うけど、その足輪に頼むっつーか…」
「…ありがとうございます。もう本当満たされました」
「いつも思うが、俺のそんな事で喜ぶってなまえは本当安い女だよな。ま、好きだがよ」


早速はめてみるとブカブカだった。


「…あ、悪ィ…」
「これサイズ調整できますよ。ふふ、よかった」


自分の足ぴったりになったアンクレットを満足感でいっぱいの私は笑顔で見つめる。


「ああそうだ。六さん、家でご馳走でもどうですか?」
「だな。行かしてもらうぜ」


夕食前に六さんにクラッカーを向けてメリークリスマス!と発射してみた。…何してんだ?とツッコまれてしまったけど。





―――

ピアスで考えたけどもピアス穴恐いのでアンクレットで




11.12.19


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