イベント部屋 | ナノ



「カズ、トリトリ!」
「…鳥がどうかしたのか?」
「違う!ハロウィンのトリトリよ!」
「もしかして、トリックオアトリートか?」
「その通り!」


俺の前で魔女っぽい帽子を被り、何か黒っぽい服を着ただけという中途半端な仮装をしたなまえが俺にいきなりトリトリと言った。薄々そうなのか?と思いつついや違う、と自問自答したらやっぱりなまえの言うトリトリはトリックオアトリートの略だった。んな略しかたあるか!


「さあカズお菓子をよこしなさい!お金ない時の非常食なんだからっ」
「ちょっと待てよ、家からとって来る」
「どうせ駅前ならお菓子買ってよー。10クレジットくらいのでいいから」
「え?いいけどよ…。500クレジットまでだからな!それ以上は出せねぇからな」


なんだかんだ俺はなまえに甘いと思う。10クレジットぐらいでいいと言ってるなまえに500クレジットまでだったら買ってやるって…。


「え、でもカズゲーム買うんじゃないの?カズは予約しないでその場で並んで買う派なんだっけ?」
「面白そうなのねぇんだよな…。イナイレも最新作まだ出ねえし」
「そっか…、じゃあハーゲンダッツ買って!」
「アイスかよっ!」


結局ふたり分買って微妙に500クレジットオーバーしちまったけどいいんだ。美味いしなまえ笑顔だし。


「いやあ、カズ。高級なアイス奢ってもらっちゃって悪いねぇ」
「別にいいよ。あ、んじゃ後でLBXバトル一回な」
「オッケー。私が勝ったらカズん家上がっちゃうから」
「いやそれ全然負けた気しねぇんだけど…」


まあいいか。なまえのアイスをひとすくい、パクリと一口。


「カズ、ちょっ、それ…」
「何だよ。仮装してねぇけど俺もトリックオアトリート」
「い、いやそうじゃなくてっ、カズ…、間接キッスだよ?」
「…そっちかよっ?」


ヤバい。気づいたら急に羞恥心が俺を支配してきやがった。


「へ、変な事言うなよなっ!」
「カズが勝手にやったんじゃん!」


なまえがあの魔女っぽい帽子を深くかぶって照れ隠し。俺は何にもないから溶けそうなアイスを無理矢理口に頬張って熱を覚まそうとする。無駄に頭にキンキン来ただけだったが。


「とりあえず、俺ん家来いよ」
「わ、わかった…」





―――

かぼちゃアイスだとか勝手に思ってる




11.10.31



戻る



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -