「八神さん八神さーん、トリックオアトリートのトリート押しでお菓子ください」
「図々しいな…」
長髪の男、八神にお菓子をくれと声をかけ、迫ったのはイノベーターの立派な成人女性、なまえだった。八神は眉を寄せ、なまえに言った。
「お前はもう子供ではないだろう…」
「あらやだ八神さん、なまえは永遠の14歳よ!」
「…イノベーターに子供はいらない」
「八神さんはなまえがいらないと言うの!?」
「なまえ、下手な芝居はやめろ」
泣き真似をするなまえに八神は呆れつつやめる様制した。
「まあそれはおいといて、私、八神さんにハロウィンを楽しんで貰おうとねー」
「私がハロウィンを楽しもうと楽しむまいと構わんだろう」
「いーや関係ありますね。八神さんはもっと笑わなくては!」
「何故だ?」
「それは…」
八神は知っていた、なまえが自分に恋愛としての好意を持っていること。なまえは知っていた、死んだ人間には勝てないことを。
「私が、笑って欲しいんです八神さんに!八神さんお菓子くれないから悪戯です!えい、くすぐり攻撃!」
「く…、やめろなまえ…!」
「ふっふっふ…、私がそう簡単に諦める女じゃないことを知っているでしょう八神さん…?」
「…、や、めろ…、くく…ふふふふ…」
「さあさあ観念してください八神さん!もう私には勝てませんよ!」
「……や、めないかなまえ!」
「やめませんよ〜!」
こうして結局八神は大笑いし、しばらく黒の組織のメンバーにネタにされ、からかわれたとか。
―――
笑って八神さん!
11.10.25
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