イベント部屋 | ナノ



約束はどうなった



「もう時間をかなりオーバーしているが」

『すみません!なかなか終わらなくて…』

「…なるべく、早く来てくれ」


そう言ってCCMの通話を切った。
なまえの声は慌てていた様に聞こえたのでなまえが来るのはもうすぐだろう。
なまえの言葉に少しばかり浮かれ、浴衣まで着て来てしまって、部下達にもかなりからかわれた。
だが夏祭りに来るのだ、このぐらい良いだろう。


「八神さん!」

「来たか。…浴衣に時間がかかったのか?」

「バレてましたか…」


まあいい、となまえに笑いかけると、なまえは照れ笑いを返した。


「何処から回るんだ?」

「実は無計画なんですよね。ふらふらと適当に歩きましょう」


彼方此方でなまえが立ち止まる。
わたあめ、りんごあめ、金魚掬い、射的やら輪投げやらくじやら本当に子供の様だ。


「焼きとうもろこしでも食べるか、なまえ」

「いいですね!八神さんに焼きとうもろこし…。何か絵面的に面白いですね」


しかも浴衣、と付け加えるなまえに、お前も浴衣だぞ、と言うと、八神さんだからです!と反論された。何故だ。
一応食事はして来たものの、やはり屋台の前を通ると食欲が沸く。とうもろこしを焼く香ばしい醤油の匂いに食欲が掻き立てられたのだ。


「あ、ヨーヨー!昔やりましたよね」

「ああ」

「じゃあ私も!」


子供の様に必死になってヨーヨーを釣る姿に苦笑を漏らし、黙って見ていた。
二本のとうもろこしを持って。


「もう花火の時間みたいだぞ、なまえ」

「あ!急いで移動しないと!行きましょう八神さん」


さりげなく握られた手を意識しながらなまえの後をついて行った。


「わあ、もう上がってますよ花火!」


見れば分かる、なんて口にせず、黙って上がる光を見つめていた。


「この約束は遅れてもいいから必ず果たしてくれないか」

「八神さんとなら!」

「来年、またこうして花火を見ようじゃないか」


打ち上げる音にかき消されぬ様、耳元で言ってやった。花火がまた、打ち上がった。





―――

書いてて相手レックスでも良くない?とか思ったのですがやはり八神さんと屋台をひたすら回りたいなぁと。
奥さんが過去に居たとしても書いてしまうのが私です!(真顔)



11.08.12


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