「海道くーん、たーなばーたしーましょ」
間延びした変なリズムで僕を呼ぶなまえ。一体何処で僕の家を突き止めたというんだ。
しかも何でちゃっかり僕の部屋の扉のすぐ向こうに居るんだ。
「…何で居るんだい?」
「メイドさんに海道君の友達ですって言ったら入れてくれた」
海道家のメイドにそんな奴が居たとは…。
正直驚きを隠せない。
「ねぇいいからドア開けて。海道君と七夕するから」
「僕はしない。君とは違うんだよなまえ」
「今までろくに七夕の短冊書いたことなさそうな顔してやーね、最近のお坊っちゃまは」
イライラして扉を開けるとなまえが何処から持って来たのか小ぶりな笹を持ってにっこりと立っていた。
「やっと開けてくれた!ね、短冊書こ?お願い事ないの!?」
「…ハァ。君のくだらないお遊びに付き合ってみるのもたまには悪くないかもしれないと思った自分が憎い。で、短冊は何処だい?」
七夕なんて楽しんでみようなんて思ったの、いつ以来だろうか?もしかしたら初めてかもしれない。
「海道君と仲良くなれます様に!」
「…願い事、か。考えつかないな。あ、これだ。なまえの馬鹿が治ります様に」
「海道君ひどっ!」
僕と友達になろうなんて馬鹿しか考えないだろう?
そんな君と本当の友達になりたいだなんて思った僕はきっともっと馬鹿なんだろうけど。
「ねぇ!もっとたくさん書こ!海道邸の人達呼んでさ」
彼女の言葉に反応してじいが一番に書いていたのを見て正直また驚いた。
―――
ジンも初書き。こんな元気な主人公いいなぁ
11.07.05
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