「寒いね〜」
「めっちゃさみー!」
「防寒具が欠かせませんね」
学校帰り、嬬武器兄弟に挟まれて歩いている。それはいいのだが、問題はおしくらまんじゅう状態なことだ。歩きにくいのはもちろん、ちょっと窮屈なのも事実。
「……あのう、ふたりともさ。もうちょっと離れない?」
「やだ」
「嫌です」
「えぇ……」
提案も即却下され、満員電車でもないのに左右から潰されて歩く。あったかいはあったかいけど、やっぱり窮屈だ。
「じゃあオニイチャンのポケット貸してやるから」
「僕のポケットも空いています、どうぞ」
言いながらふたりは私の手をそれぞれ片方ずつ自分の上着のポケットに入れていく。しっかり握られて、これまた歩きづらい状態に。押し潰されて手は不自由でって、これは何の罰ゲームだろう。枷でも着けて歩いてる気分だ。
「ねえこれすっごい歩きづらいよ〜」
「いいだろー、寒いんだからー!」
「それにこれでなまえも風邪をひきませんよ、きっと」
「そういう問題ー!?」
右の赤、左の青、双方全く聞く気がないので、今日は目的地に着くまでこの枷付き状態らしい。どうせ脱け出せないので諦めつつ、仕方がないのでこの状況を楽しむことにした。
―――
嬬武器兄弟、お誕生日おめでとう!
19.01.18
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