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暑い、と死にそうな顔で彼女が呟いた。
ああ、確かにこの暑さには私でも参ってしまいそうだ。彼女は口をだらしなく開けて、言葉にならない声を上げている。…そんな顔、女性がするものではないだろう。


「ホムラさん、暑い」
「ああ、それは私も同じだ」
「っていうか!よくそんなフードまで…。ムリ、私にはムリです…」
「…団服はしっかり着込まなくてはならないものだろう」
「えー、真面目すぎですよ隊長…」


はああ、とまた息を吐いてぐったりしているナマエにこちらも小さくため息を吐く。
私はよく暑さに強いと言われる。まあ、他の人間に比べて暑さに特別困ったことはないし、マツブサ様にも言われたので実際そうなのだろう。そして私は思う。ナマエは暑さに弱い方の人間なのだろうと。私の部下にも暑さに文句を言う人間はいたが、ナマエは特に弱い様に感じる。
幹部の私が言うべき言葉ではないが、ナマエはアクア団に入った方がよかったのではなかろうか。まあ向こうに行くと言ったら言ったで私は引き留めるが。


「グラードンは日照りを起こし、海を干上がらせるという」
「うえ…、グラードン復活させるの嫌になりました、ホムラさん」
「とはいえ、それが私たちの任務だろう」
「そうですけど…。だって、暑いのダメなんですもん」


マツブサ様の命に背く気か、と言いたかったが私はあえて口をつぐんだ。なんだかんだ言ってナマエはマツブサ様の…、いや、私の命令に背くことはない。
暑い、とまた呟くナマエは完全にダウンしかけている。さて、どうしたものか。


「ナマエ、」
「はあい、ホムラさん…」
「これでもう少し頑張れ」


目的地まで後もう少しなのだから、その言葉を口にせず、氷を含んだ口でナマエのそこに口づけた。口の中の氷を彼女の方へと押しやって、涼をくれてやる。氷を口に含むだけで体温は幾分か下がるはず。


「…ホムラさん、かえって暑いです…!」
「…私も同じだ、少しは我慢しろ」
「隊長のせいじゃないですか!」


真っ赤な顔を手であおぎだす彼女と私、果たしてどちらがより赤いのか。真っ赤なフードでも隠しきれないだろうその赤に思わずため息を吐く。

きっと私も暑さにやられているのだ。氷の件はそれで片付けよう。





―――

意外と突拍子もない行動しそう




14.05.21


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