2020/11/11 23:37
「えへー、つい買ってきちゃった」
「なんだ、おまえまで製菓会社の思惑に乗せられたのか」
なんて言いながらも、私のカバンを覗き込むデンジさんの顔は口とは裏腹に興味があるというのが丸わかりだった。けれど、その顔は私が取り出したものを見て、すぐに眉根を寄せたものにかわってしまう。
「……なんだ、プリッツのほうか」
手洗いも終えたので、さっさと封を開けてさっそく細長のそれを食べながら、プリッツは嫌いなのか聞いてみると、デンジさんは少し不機嫌そうに私に寄ってきた。
「プリッツだと、こうするぐらいしかないだろ」
そう言ってデンジさんは次のプリッツを取ろうとしていた私の手を掴んで、あろうことか私の指をひと舐めした。
デンジさん、ポッキーだってチョコの側持てばそれできますし、プリッツだってポッキーゲームができるんですよ。なんて思ったけれども、反応の遅れた私が声を出す前に彼はさっさと奥の部屋に引っ込んでしまったので、それを伝えることはできずに自分の指を眺めて震えているしかできなかった。
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プリッツのしょっぱさを思い出しながら書きました