2020/06/01 13:32
*リオン(ザ レイズ)
「なんだこれは」
心底嫌そうな顔で自身の手に持つものを見つめる彼、リオンはその視線をこちらによこした。
「リオン様へのラブレターですが」
「いらん、捨てておけ」
煩わしそうに手紙を突き返して、そのまま踵を返す。どうしたものかと手紙を見つめていたら、声をかけられ顔を上げた。
「……お前が書いたもの以外、いらん」
再度、捨てておけと言い残して去っていく背中に期待の色が見えたけど。あの言葉は、逆に私がラブレターをもらったような衝撃だった。だって私の書いたラブレター以外はって、つまり。ラブレターなんて書いたこともないし、そんな想いを彼が持っていることも胸をざわざわと騒がせて。部屋に戻って、すぐに内容を考えなければ。
ところでこのラブレター、どうしよう。
*ジューダス(ザ レイズ)
「手紙か?」
「あ、うん。なんか、急に買い出しの時にもらって……」
言いながら手紙に目を通す女の後ろからチラと己も目を通すジューダス。内容は彼の想像通り恋文であり、そしてこれまた予想の通りの中身のなさだった。
「……いらん。お前には必要ない」
パッと彼女のそれを奪い取り、さっさとゴミ箱に投げてしまう彼に、当の彼女は絶句する。拾い上げることすら阻止され、その手を握られ。
「僕ならそんな内容、もっと気の利いた言葉に変えて言ってやる」
*シャルティエ(ザ レイズ)
シャルティエはずっと悩み続けていた。ある女性に自身の想いの丈を詰め込んだ恋文を渡すか否か、を。いつも彼の行動を足止めする卑屈さは今回も例外なく彼を羽交い締めする。
気持ち悪いと思われたら。迷惑なのでは。というより女性にとって恋文ってどうなんだろう、直接言えよって思ったりする? というか目の前で破り捨てられたりなんてしたら僕が持たないぞ! などの思いがシャルティエの中ではずっとずっと渦巻き続けており、なかなかしたためた手紙を渡せずにいた。
昨日も彼女に会いに行ったのだが……軽い談笑で終わらせてしまう。手紙の存在などなかったかのように帰ってきてしまうのだ。そして、おそらく今日も。彼がそう思った矢先であった。
「あの……シャルティエさん」
「え!? は、はい!」
「その、落としましたよ」
気恥ずかしそうに、まるで彼女が恋文を渡してきているかのような姿だった。ドキリと彼の胸が高鳴ったのはそれだけが理由ではないのだが。宛名を書いていなくてよかったとホッとしながらも、彼は停止してしまいそうな思考で考える。
――これは、彼女に受け取ってもらうチャンスなのでは?
「あ、ありがとうございます……」
――ああ! 僕の意気地なし!
一度は彼女の愛しい指が触れた恋文を引き取りながら、彼は心で叫ばずにはいられなかった。散々自分を罵倒しながらも、頭を下げて帰路を急ごうとした彼の背に小さな呟きがぶつかる。
「……私へのだったらよかったな」
目を丸くした彼が振り向くのと、彼女が口を抑えるのは、ほぼ同時だった。
*ニア(ポップン)
※男主
「……また……」
うんざりした表情でニアは下駄箱から白い封筒を取り出した。しっかりと自分の名前が宛名になっているのを確認して、さらにニアの目は死んでいく。
「ニア、それラブレター?」
「……たぶん……」
差出人の名前と同じ下駄箱を探して、そこにそっと手紙を入れ直す姿を見て、ゆっくりと息を吐く。面倒そうな、困った表情が余計に息を重くさせて。
「……ニアは、俺がラブレター書いても返してくる?」
「……え……」
「……いや、やっぱいいや。忘れてくれ」
あの死んだ目が自分に向けられるのだと思ったら、もう俺のメンタルは限界だ。それを視界に入れる前に背を向けるしか、臆病者には道がなかった。
*リアラ(ザ レイズ)
「あ、ごめん! お手紙書いてたんだね」
「ふふ、いいのよ。カイルへのラブレターを書いていたの」
「ラブレター……おぉ、それはまた」
「よければあなたも書かない? ライラさんと手紙の話をしていたら書いてみたくなっちゃったの」
「あはは……私には相手が……」
「あら、てっきりあの人に書くのかと……」
「あ、あの人ってどちら様でしょうか……?」
「うふふ。カイルのことを考えながらお手紙を書くって素敵ね」
「……リアラちゃんは恋する乙女だなぁ」
*ケンジ(ポップン)
「あ、ケンジさん、これ借りていいですか?」
「ん……? ああ、その本。読み終わりましたので、どうぞ」
「……あれ? なんか手紙が……」
「えっ……? あ、そ、それは……!」
「わ、私宛て……!? ケンジさん、これ……!」
「……君へのラブレター、そこに挟んだままだったみたいです……」
「……もらっていいですか」
「……どうぞ」
*嬬武器烈風刀(SDVX)
「烈風刀くんってラブレター似合うよね」
「……それはどういう意味ですか」
「好きな人思って書いてるのも、渡されてるのも似合う」
「そうですか……君の感性は僕にはあまりよくわかりませんが……」
「なんというか、手紙が似合うのかも。思いを大切に言葉にしてるのが似合う」
「はあ……?」
「あと単純に烈風刀くん白い封筒似合う! 白似合うよね」
「わかりました、君にラブレターを渡すときは白にしますね」
「……んっ?」
「今度書いてきます」
「ん? えっ?」
*仙道ダイキ(ダン戦)
「お前、なんだこのメール」
「……よ、読みました?」
「読んだから聞いてるんだよ、バカか」
「いちいち暴言が入る人だなぁ!」
「そいつに好きとか送ってきたのはどいつだ」
「私です」
「……直接言いな、ほら」
「言えないからラブレターならぬラブメールなんでしょ、仙道さんのバカァ!」
「チッ、バカはお前だ」
―――
シャルティエさんのやつ力入りすぎ違います?