▼中編「R.I.P」について(ネタバレ?)
03 Aug, 2015

「R.I.P」とは「安らかに眠れ」という意味。お話の中で亡くなった全ての方々に向けた題名にしました。
この話の主人公は悪を憎む正義のヒーローではなく、言うなればアンチヒーローです。テツオが冒頭で「悪にも良い奴はいる」と娘を諭す描写があります。この話では所謂主人公であるテツオがヒーローとなり敵であるヒルッカが悪になるのですが、一概には「悪」を悪に出来ない場合があるな、と。勝者が歴史を創るのは如何なる時でも同じですよね。最後は「悪」を倒したテツオですが、彼にもそんな気持ちがあったのです。

大人になったテツオは子宝に恵まれます。その中でも長女は特別な役割です。彼女は幼い頃、父から良い「悪」についての話を聞きました。しかし、成長した彼女の手にはカルピスが。これは彼女もテツオと同じような体験をした、つまり良い「悪」と出逢い、倒す、という経験をしたということです。その体験談を持ち掛けられることによって、ある意味テツオは未だにヒルッカの呪縛から解放されていないのです。

そして、大人になったテツオの口調は、どことなくヒルッカのものと似ています。彼自身、知らぬうちにヒルッカから大きな影響を受けています。

余談ですが、ヒルッカという名前はフィンランドの女性名です。かと言ってヒルッカがフィンランド出身というわけではないし、女性というわけでもありません。作中で彼は北欧の生まれだとする発言をしていますが、それは人間界での名前を決める際に採用した名が北欧のものだったから、と考えて頂ければ。ただ、ヒルッカが中性的な容姿をしているのは、明らかに名前に由来しています。ヒルッカについては全く設定を考えていなかったので私自身彼のことはよく分かりませんが、人間離れした容姿や言動から、おそらく宇宙人の類だと思っています。



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