君の隣が似合うのは、きっと綺麗で、スタイルが良くて、いい匂いがして、スポーツだって出来て、もちろん優しくて、気配りができて、料理も上手かったりして。
そんな人なんだろう。
あまりにもパーフェクトな人物を容易く想像してしまう自分がおかしく思いながらも、落胆する。
でも君に、少しでも釣り合う人になりたい。


「もしもし、葉月くん?私、小波ですけど。」

電話の初めは、やっぱり緊張する。
でも、どこか抜けたような眠そうなその声を聞くと、少しずつ緊張が和らいでいくのを感じる。

「じゃあ日曜、公園入り口で待ってるね。」

向こうが切るのを確認してから電話を切る。
自分がこんなに積極的になれるなんて思わなかった。それも、彼の独特な雰囲気に触れることが多くなかったからだろうか。
もっと彼を知りたくて、その瞳には何がどう映っているのか、見てみたい。



当日。時間より10分前に待ち合わせに着いた。
前日は、肌パックもしたし、化粧水もたっぷり塗ったし、ヘアケアだってしてみた。

ベンチに座って待っていると、前からゆっくり歩いてくる見慣れた姿。彼は目が合うと、少し早歩きでこちらに向かって来た。

「...待たせたか。」
「ううん。行こっか!」

少し申し訳なさそうに目を伏せる葉月をしたから覗き込む。葉月はどんな時でもかっこいい、そんなことを思った。
行き先は、森林公園。
ちょうど花見には絶好の天気だった。

「葉月くんみて!桜すごいよ!」
「ああ。いいな。」

相変わらずぼんやりした口調で答える葉月であったが、満開の桜を見る目は少しキラキラしていた。

「奥までずっと続いてるね。」
「...なぁ、お前今日いつもと違うな。」
「え?」

葉月は、じっとこちらを見ている。
やがて近づくと、美奈子の頬に綺麗な指先で触れた。

「は、葉月くん...?」
「...化粧してるのか?雰囲気、違うな。」
「うん...せっかく葉月くんと出かけるからって思って...」
「そうか。」

挙動不審になる美奈子とは対照的に、葉月はけろっとした顔で答え、触れていた手を離したかと思うとそのまま美奈子の手をぎゅっと握った。

「え!?」
「...どうした。いつも繋いでるだろ、手。」
「そ、そそそうだけど!不意打ちっていうか!」
「...慌てすぎだろ。」

葉月は不思議そうな顔をしていたが、美奈子の慌てようを見てクスクスと笑いだした。

(私の気も知らないで...)

涼しい顔をして歩く葉月を見て、ドキドキさせられることが少し悔しいくらいに感じてしまう。
手を繋ぐのは今回が初めてではないが、葉月から手を繋いでくるなんて初めてだった。そこでふと疑問が浮かんだ。

(これって、どういうつもりなんだろう...)
(ただの友達で、手繋ぐかなぁ)
(でも、最初は私からだしなぁ)
(うーん...)

いろんな考えが浮かび、悶々としながら桜並木をゆっくりと歩いていく。桜はとても綺麗だったが、後半はそれどころじゃなかった。
夢のような時間。

「...美奈子、なんかあったのか?」
「え」
「さっきから、考え事。」
「ご、ごめん。なんでもない!桜、綺麗だね!」
「...大丈夫か?」

また新たな悩みを見つけてしまった美奈子であったが、すぐそばでそれを見守るように優しい眼差しがあることに、美奈子はまだ気づいていない。



END
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