キリリク | ナノ
もしもケロロ軍曹世界に




『日向くん。そこ違いますよ』

「えっ、?」

『ここはこうです』


日向宅に七実はいた。七実は無表情で、冬樹が間違えた数式の間違いを正す。冬樹に分かりやすく、分かるよう、丁寧に間違いを正した。冬樹は納得したように数式を書き直す


「七実ちゃんに来てもらって良かったよ。僕1人じゃ、この問題わかんなかったからさ」

『そう言われると、来たかいがありました』

「敬語は使わなくていいよ。僕たち友達でしょ?」


七実はぴたり、と動きが数秒止まった


『はぁ、今さら敬語を使うなと言われても、困るのだけれど…まぁ、頑張ってみるわ』

「うん!」

『というか、僕たち友達じゃなくて




恋仲でしょ?』

「////…!!」

『あら、日向くん。顔赤いわよ』

「…うぅ」


そうこの2人は付き合っているのだ。付き合っていると言っても、2日前からなのだが。だから、この2人が付き合っている事は誰も知らない。本人達が言うつもりがないからでもある


『ねぇ、日向くん』

「どうかした七実ちゃん?」

『さっきからそこで立ち聞きしている生物がいるのだけれど』

「Σゲロッ?!」


無表情で無感情で、ビシッと細い指で少し開いていたドアを指差した。そこに緑の生物…がいた


「軍曹!いつからいたの?!」

「心配なくても我輩、何も聞いてないであります!そのお方と恋仲という事なんて、これっぽっちも聞いてない…Σあ!?」


うっかり喋ってしまった緑の生物。しまった、という風に手で口を塞いでいた。ただの馬鹿である


「…ぐ、軍曹!!」

『あら、日向くん顔が林檎のように赤いわよ』

「真っ赤っかですなぁ」


ゲロゲロと笑う緑の生物であった


「もう!2人して僕をからかわないでよー!」

『日向くん。別に僕はからかったつもりは毛頭ないのだけれど…?』


ピョコピョコとアホ毛が動く


『あぁ、話しを元に戻すわよ…』


がしりっ


「ゲ、ゲロぉおぉおおおおお?!」

『この生物は何なのかしら?』


青白くて細い手で緑の生物の頭をがしり、と掴んだ。か細い腕には筋肉などほぼついてない。そんな腕で緑の生物の頭を信じられないような強さで掴んでいた


「七実ちゃん?!軍曹が可哀想だから離してあげて!」

『可哀想?…よくわからないけれど、いいわ。ちゃんと説明してくれるのなら、離してあげる』

「します!します!だから離してえええ!!!頭が割れちゃううう!!!!」


…ぱっ
どんっ!


『あら、頭が割れるなんて大袈裟ね。割るなら最初から割っているわ』


無表情で痛さのあまり転げ回っている緑の生物を見てさらりと言った


「冬樹殿ぉ!このお方、ある意味、夏美殿より恐いでありますよぉお!!」

「あは、はは…」


鼻水を垂らしながら泣きじゃくっている緑の生物…ケロロは冬樹にしがみついて生まれたての小鹿のように足が震えていた




――――
―――
――





無表情で無感情で


『…あなた宇宙人なのね。まぁ、興味さえ沸かないのだけれど』


ぼそりと呟いた


「どどどどうぞぉ…」


どもりながらジュースとお菓子を持ってきたケロロ。何故、どもっているかというと…冬樹の部屋に七実とケロロの2人しかいないからである。ケロロは七実に自分が宇宙人であることと、自分が冬樹の家に居候している事を説明したのだった。冬樹は今、夏美に呼ばれて下の階にいた


『確か、ケロr…ゴミっていう名前だったような』

「ゴミ?!我輩、さっきちゃんと自己紹介したでありますよっ!!というか、何故言い直したんでありますかっ?!最初のであってるのにぃー!」

『分かりやすく説明してくれてありがとうと言うべきかしらね?』

「…ゲロぉ…何気に話が噛み合ってない気がするんでありますが…」

『あ、そろそろ帰らないと行けない』


ピコーンとアホ毛が動いた。動くアホ毛に驚いたケロロ


「(あれぇ?アホ毛って動くっけ?動くんだっけ?ピコピコ動いてんすけど、生きてるみたいなんすけどおお?!)」

『それじゃあ、僕はそろそろ帰るとするわ。日向くんにそう伝えておいてね?』


どこからか持って来た、靴を片手で持っていた。窓に足をかけ


『じゃあ、さようなら』


そのまま飛び降りた


「Σちょ、七実殿ぉ?!」


急いで窓に駆け寄り、外を覗くが、外には誰もいなかった