二
ジリジリと、日差しを浴びる。影に逃げてはいるが、あまり意味がないようだ
『…いくら私が日差しを浴びてもいい身体だといっても、やはり…日に浴びるのはヤダねぇ』
「そりゃあそうだろう、吸血鬼だからな。にしても、お前羨ましい身体してるよな」
『羨ましい、か』
阿良々木くんの影にちらりと、目をやる。たいした意味はないが
「というか、今更なんだがお前…」
『お前呼ばわりは気にくわないね。私にはちゃんと忍野ミミという名前があるんだよ』
「…それは、すまなかった」
『うん、分かって貰えてくれて私は嬉しいよ。で、話を元に戻してもらっても構わないよ阿良々木くん』
「あ、あぁ…今更なんだが、ミミさん。髪、今日はくくっていないんだな」
「さん」付けか、まぁ…お前よりましかなん
『ふっ…くくりたくてもくくれないのさ。ゴムが全て千切れてね』
「何故不敵に笑う?!そこは悲しむところだろ!」
『おかげで、髪が地面についてしまっている。何という悲劇なんだ』
「悲劇なのか?それは悲劇なのか?大袈裟じゃないのか?」
『おいおい、阿良々木くん。髪は女の命なんだよん?そう、女にとっては大袈裟なんかじゃないの。阿良々木くん、君は命の次に大切なものが地面に引きずられていても、君は大袈裟と言えるかい?』
「言えません!!」
そんな阿良々木くんは愛用の自転車の後ろに私を乗せてくれた。まぁ、単なる二人乗り。こんな所をツンデレちゃんに見られたら確実に阿良々木くんが可哀想な事になりそうだから、私は座っているのをやめ、立った。うん、これならいいだろう
「っておい!危ないだろ!!」
『気にしなくていいさ』
「急に立ち上がられたら気にするだろ!」
『元気いいねー、何か良いことでもあったのかい?』
いつも通りに、普段のように、聞いた。立ち上がったら危ない。それは人間なら、危ないだろうが、生憎私は正真正銘の吸血鬼。こんな事、たいしたこともない
「吸血鬼だろうが人間だろうが、危ないものは危ないんだよ!」
『分かった分かった。座ればいいんだろ座れば』
やはり、阿良々木くんは優しいな