――― 身体中が痛い。そういえば…俺、負けたんだっけ。あの、夜兎…強すぎっス。ありえないっス。ていうか、俺…生きてる?

あれ?死んでない。勢い良く起き上がれば


「っいったァアアァァァアアア!!!!!!」
『煩いですヨ』
「あ、すみません」


って、え?


「な、なななっ?!!!」
『黙らないと怒り(殺し)ますヨ?』


今、ダブって聞こえた。殺すって聞こえたっス。青ざめながら、周りを見れば。見知った俺の家


『くすくすっ…』


混乱している俺を見て楽しんでいる夜兎。その夜兎は綺麗に笑っていた。いかにもこの夜兎は清楚を形にしたような、そんな女だ。一見、夜兎であるというが信じられない容姿だ。それがあんな戦いをするなどと、誰が思う。俺でさえ引いたのだ。ドン引きっス。異常だ。俺だって戦闘狂という自覚はあるが、この夜兎は俺以上の戦闘狂のように思える


「そういえば、俺…アンタの名前知らないっス」
『あぁ、これは申し遅れました。鑢七実と申します』


七実、七実…と夜兎の女の名前を繰り返し呟く


「俺は…扱蓮場」
『あ、そういえば』


思いついたように声を出す


『顔に怪我させてすみませんネ』
「は?」
『いや、女の子の顔は怪我させてはいけないと教えられたものですから』


女の子…女、女、女ぁぁあ?!!!


「俺は女じゃないっスぅうううう!!!!!」


全力で否定した


『あり、そうなんですか。それはすみません…見た目が少女なんで、間違えました』
「少女って…俺、アンタより歳上だっつうの」
『……マジですか』
「200は超えてるっス」
『あは、はは…そうなんですか、それは失礼しました』


そういって、家から出て行こうとする七実


「ちょ、待つっス!!」
『何です?』


振り返り、不思議そうに問いかけてくる


「俺、アンタに惚れた」
『はい?』
「だから、俺はアンタに着いてく」
『……』




(まぁ、暇つぶしには丁度いいですネ)
(暇つぶしかよ)
(ええ)
(ちぇ、ま、それでもいいっス)



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