小説 | ナノ



あなたにとっては私も、
世界を汚してしまう存在でしたか。
傷ついていない、ふりをすれば
誰も彼も体良く、騙されてくれて
貴方も例に漏れず、その独りで。

失望したのなら、
その泉の底辺で私を、探してくれたらよかったのに。

きっと草臥れた足を引き摺って
その流木の上にでも座って
遅かったね、
なんて微笑めた気が、するのに。


貴方は上へ、行ってしまった。
零れ差す、雲の隙間はきっと
なみだの跡に、よく映えて

いまなら、
ひとりじゃなければ美しいと
言えたかもしれないのに


小さく、うたをこぼす

だって本当はわかってたから
同じ景色をみれるのは
同じ絶望を知る瞳だけ

よく似た色の向こうに
シンパシーを求めたって、
傷つくのは結局あなた、だから。


さあ渇いた風が、
傷口を抉るので。

待つことはもう、やめにして
このまま溶けてしまおうと思います。


2013 12.10 19:15



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