小説 | ナノ
君癖

呼吸をするように、
沈みゆくように、


それ以上は要らなかった、


それ以外ができなかった。




理由もわからない水滴が、
幾つも頬を濡らしたの。


気付けば夜の底、
冷えた街の途中で思い知った、


零してしまった名前を。



そして其れにどんな意味があるのかを。



多くを語るのも、
柔に縋りつくのもきっと、子供じみた行為で、



だからこそ冷たい風に頬を切って、


憔悴しきったカラダで、



貴方に、会いたいと願ったんだ。



2013 11,1 21:48

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