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金色のコルダ(翔麻)


100万人の金色のコルダより不動翔麻×香穂子。
ベタな展開で申し訳ありませんが…翔麻が香穂子に恋を自覚するお話です。

100万人をプレイされてない方はちょっと解らないかもしれません…。






軽音の奴等と話し込んでいたら下校時間になっていた。
そういや、今日はアイツを見かけなかったな、そうふと思い出してちょっとだけ自分の中にある違和感みたいな感情にモヤッとした。
考えてみたら最近いつもそうだ。用があって2年の教室前を通るときも。屋上や校門前を通るときも。気付けばアイツを探してる。見つけた日は、ラッキーだとさえ思う。


この気持ちは、なんなんだ?
そんな自問自答を繰り返してると校門前からもう聞き慣れてきたヴァイオリンの音が聴こえて。


「お、…これはもしかしなくても、パタちゃんだな」


若干、浮わついたような自分の声色にまた不可思議な感情を抱きながら音色が聴こえる方へ歩みを進めると、たどり着いた先にはやっぱりアイツがいた。
一番最初に聴いた頃に比べたらすっげ巧くなってる。
それはアイツが毎日努力してきた成果なんだろう。
俺はクラシックなんかよく解らねえし、音楽はやっぱロックが一番だ!とか思うけど。…アイツが、パタちゃんが弾くヴァイオリンは不思議と嫌いじゃなかった。
そしてなにより、ヴァイオリンを弾くアイツは…すげえ綺麗で目が反らせなかった。ようやく弾き終わったらしいパタちゃんに、ブラボー!と拍手しながら近づくと嬉しそうにはにかんで微笑した。



「翔麻先輩、聴いてたんですか?」

「おう、途中からだったけどな」

「そうだったんですか!
最後まで聴いてくれてありがとうございました」

「礼なんかいらねえって。
…パタちゃん、巧くなったヴァイオリン」

「え、本当ですか!?」

「まあ、俺はクラシックとかよく知らねえけど…最初に聴いたときに比べたらかなり良くなったんじゃねえか?」



クラシックをなんも知らねえ俺が言っても対した事は言えない。けど、その言葉にも素直に嬉しいとヴァイオリンを抱き締めて喜ぶコイツが、やっぱすげえ可愛くて。
―――ドキン、と心が速くなっていくのを感じた。
もしかしたら、これが。



「なあ、パタちゃん」

「なんですか?」

「一緒に、帰らねえ?
…てか、一緒に帰ろうぜ、家まで送ってやるから」

「…ありがとうございます、嬉しいです、翔麻先輩!」



なあ、これってさ。
―――やっぱ、恋ってやつなのか…?
その答えを知るのは、もう少し先のことだった。


2012/03/02 05:12
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