口に含むあかいあかい果実。齧れば、そこからこぼれだすそれ。
測定不能な電波。確かな場所に届かなくて。放電しては岩に溶け込んで消えた。
その繋がれた首は何処に続いているのだろうか。なんて思っては弄ってみるんだ、零鈴。
その指に似合うものはなんだろう。目の前霞む残像に埋もれ。
白い椿が目の前ひらひらと堕ちて。
琥珀色の宝石を捜して。


ストレートに呟いては君に手渡す言葉。笑いあっては足跡は既に過去へ歩く。
手元に残った果実の芯。ぶらぶらと揺らしてみては捨てることが出来なくて。君の口元が露骨に未だに残って。
丸裸の言葉が踊っては象っては嘲笑い去る。悪魔みたいな形をして、それを振りほどく自分はエクソシストまがいで。

白い椿はいつの間にか黒く染まっていき。もう何もわからないだなんてほざくもう一人。煩いから其処にあった棒で殴り殺してみたりして。
そしたらね、彼岸花がひとつ此処に増えて。
足で踏んでみたらくちゃうちゃぐちゃり。気持ちがわるくてもっと潰してみた。思いっきり踏みにじってみた。隙間から出てくるジュースはある日零したものに良く似ていて。

また今度もなぶってみるの。これが正義だなんて、君を傷つけた彼をさしてみた。
ぐしゃぐしゃと片手で握りつぶされる折鶴。首元穴が開いて。
その醜い口の弧はいつも以上に笑って哂って。追加された分の長さから五月雨が降っては止むことはなく。
だからね、傘なんてものを作ってみる。
捲り上げた中身はどす黒くて。こどもがクレヨンでぐしゃぐしゃと書きなぐったガラクタばかり転がっていて。ニンゲンなんて、ほんとう。
彼岸花がまた一つ、其処に咲きました。

またぐるぐると踊り廻るそれ。
喉元包丁を突き出しては笑うひとのお腹を蹴ってみた。汚い口元から飛び出た悪魔。わらわらと君に群がろうとするから全部に石を投げてみた。
蛾のような、蝶のような。羽根をはぱはぱ。嗚呼、殺虫剤を取り出さないと。
引き裂いて、その顔を取り出す。でもいくら剥いでも色とりどりのお面が自分を笑う。
クラウンだなんてピエロだなんてぬかすから、その喉元にお返しとしてあかいあかい包丁を差し込んだ。

転がっては自堕落に酔う薬。
貴方も欲しがっているの。ならこのチョコレートをあげる。ついでにウォーターもどうぞ。きっとエクスタシーな気分だってさ。
ぱらぱら舞って踊っては堕ちるひと。ねえもう何も聞こえないのでしょう?
ほら、お菓子の国はそこにあるよ。




別に痛くも痒くもないよ。君のためだから。全て、全部何もかも君のためだもの。
だから傷を付けられても平気だから。息が止まったって大丈夫。君が無事ならそれでいいんだ。

なのに、どうして。

君はそんなに泣きそうなの。ぼろぼろでくしゃくしゃ。ひとつぶひとつぶ小さな海が生まれては消えていくよ。

どこがいたいの。どこがくるしいの。だれにされたの。せかいのせい?
ねえどうしてどうして。

墨汁に浸った白い椿。いつの間にか枯れていて、君がみえる。ちゃんと、みえた。ブラインドは無いはずなのに。あれ、見えないなあ。どうしてだろう。
その手だって触れてるはずなのに。どうしてだろう、つめたいの。でもちゃんと其処に在るんだ。



外れた君のそれ。ぶらんぶらんと揺らしてみてはしゃぶりついて。
君への「あいのことば」だなんて言う電流は、いつの間にか逆流して。
その何も無い首に、自分のこの頭を切り取ってあげよう。ちいさなプレゼント。



嗚呼泣かないで。くしゃくしゃにならないで。どうしてずっと泣いてるの。悪い奴らはみんな追い払ったよ。もしかして、まだ誰かが傍に居るの。

嗚呼、この腕にこのいきもののことは心配しなくてもいいよ。ただ自分を食べているだけだから。踏みにじっているだけだから。

口から零れるそれはただの自分の残りカスだよ。転がって、まっくろくろけ。

ぼろぼろと顔から零れ落ちるのはとある皮。地面に浸って黒く染める。大丈夫、仮面はいくらでもあるからきっと。

傷口に詰め込んだ薬ばかり。吸っては食べて飲んで。君は触れちゃ駄目なんだ。

ガラクタばかりが自分からあふれ出す。ヘンテコなあいのかたち。でも、どうしてだろうね。こんな形ばかりしかつくれないんだ。

ピエロはずっと笑ってる。自分も笑ってる。

クラウンは傍観してる。自分を自分で見渡している。



だから君は自分に触れないで。嗚呼、もう、何も聞こえないから。何も見えやしないの。
御免ね、何もなにもなにもなにも ワカラナ イ んだtte。
ぜんぶ、ぜんぶ、 きみのため 


「モウイッソ、ころしてしまうよ。」




(きみをきづつけるジブンをころしていただけだから)