十二月にもなって、最近はもうめっきり寒くなってきた。 暦の上でももう冬至は遠くない。 (俺ってば、冬よりは夏の方が好きだなぁ…) 寒くて凍え、心許なくなる。 思いながらテーブルに顎をつき、霜の下りた窓を見ていると、カチャカチャと音を鳴らせながら足音が近づいてきた。 「どうした?」 「んーん。さみぃなぁと思って」 「だろ?そう思って、ホラ。今日は鍋だよー」 from/inoさま 振り向くと、ホクホク笑顔のその人と、その手元には言う通りの土鍋。 湯気が出ていてかなり熱そうである。 「何鍋?」 「鶏鍋」 簡潔に答え、テーブルの鍋敷きに鍋を置いたカカシは蓋を開け、むわっとした湯気が立ち上った向こうでナルトを見た。 「野菜もいっぱいあるからな。いっぱい食べて大きくなれよ」 父親か、とツッコミたくなる感じだが、勿論ナルトの親ではない。上司で先生。…で、恋人な存在。 半纏を着て鍋を振る舞うカカシ…なんてサクラたちが見たら笑いそうだが、この姿はナルトだから見ることが許された特権だ。 器に野菜をよそいながらカカシは目尻を下げる。 「冬は、いいよねぇ。こうやって二人で鍋つついてると幸せな気分にならない?」 確かに、そう言うカカシは幸せそのものといった感じで、ナルトはそんなカカシの様子に一瞬動きを止め、頬を染めた後で「うん」と頷いた。 冬は…本当はあまり好きじゃないけれど、二人でなら。 霜の下りた窓を見ながら狭く暖かい部屋の中で、幸せだ、と思えるかもしれない。 「…外、雪降りそうだってばね」 ナルトが呟くと、トンと器をテーブルに置いたカカシが口布を下ろす。 「そうだね、…今日は泊まっていけば?」 風呂ももう沸けてあるんだよ、お前浸かるかと思って。 と準備万端な返し。 おまけとばかりに囁いた。 「今夜は、俺がたっぷりあっためてあげるからね」 …冬は、やっぱり嫌いじゃないかもしれない。 END(20091203) 前へ 次へ戻る1/1 |