以下、「回生サディスティック」サンプル本文抜粋 (再投稿なのでサンプル部分変えました。Pixivにあげていたものと本の本文は変えていません) 昨夜の情景をまざまざと思い出し、ナルトはふっと小さく笑った。 「ふふ……へへへへ」 俯き、暗い目をして一人緩く笑いだしたナルトを、周囲を行き来している人々がぎょっとして避けていく。 ……とは言ってもナルト、壊れたわけではない。 カカシとのこのところの一方的な行為を経て、自来也の旅に同伴させてもらおうと逃げる気満々になっていたが、昨夜カカシに襲われている最中にその考えは怒りに食われた。 潰されるようにしてシーツに縋り、背後からカカシにヤられている間、思ったのだ。 こうも好き放題やられておとなしくしていられるか。 ――復讐してやるってばよ。 それが、冒頭の「……もう、ぜってー許さねーってばよ」の台詞に繋がっている。 「覚えてろよ……、カカシ先生」 学習能力はいまいち無い方か。ナルトはニヤリと企みめいた笑みを浮かべた。 幸か不幸か、昔からいたずらを仕掛けることには長けている。それでもってナルトが今カカシに仕掛けようと目論んでいるのが、いたずらと言う名の復讐だった。 皆の前ではまともな人間のふりをしているが、その実、滅茶苦茶でサドじみているカカシをギャフンと言わせたい。 それを見て腹を抱えて笑ったら、ここ最近ずっと抱え込んでいる尻の疼きや腹の虫も少しはおさまるというものだ。 そこでナルトが考えたのが、或る意味、ベタ中のベタ。或いは古典的かもしれないが、別人に変化してカカシを嵌めることだ。 若く、それも綺麗な女性の誘いなら性欲魔人なカカシはきっと鼻の下を伸ばして甘い誘いに乗っかるだろう。 それから幾日かして、 「カカシさん」 夕方、通りを歩いていたカカシに声をかけた。 女性に変化した姿でカカシを飲み屋に誘い、そこからカカシの部屋に移動するに至るまで、いとも簡単だった。 誉めそやして「カカシさんに憧れていて付き合って欲しいんです」とナルトが言えば、「悪いけど、オレには付き合ってるやつがいるんでね」と返され、どうやらそれが自分のことらしいと察して、案外貞操観念があるのだろうかと見る目が変わりそうになったのも束の間、「なら一晩だけお相手して下さい」と言えば、カカシはそれにはあっさり「いいよ」と答えたのだった。 貞操観念も何もあったものじゃない。 (……まぁそうだよな) 前に『オレもどうせなら本物の女がいいけど、病院だとさすがに連れ込むわけにもいかないし』などと言っていたし、その時点でろくなものじゃない。 ギシ、とベッドを軋ませて上体を持ち上げたナルトは、眼下を見下ろして勝ち誇ったように口角を上げた。 その姿は既に金髪碧眼、少年であるナルトに戻っている。 「……大成功だってばよ」 ふっふっふ、とこらえきれない悪者のような笑い声が漏れる。 下には仰向けになり、すっかり寝入っているカカシの姿。 作戦は、怖いぐらいに上手くいった。 ナルトが立てた作戦はこうだ。 カカシに酒を飲ませて気を良くさせてから、部屋に行ったら隙を見て飲み物に睡眠薬を入れる。睡眠薬は数日前、シカマルに上手いこと言って取り寄せてもらった奈良一族秘伝のものだ。 そしてここからが肝心なところだが、カカシが眠ったら服を脱がせて全裸にし、前にカカシがナルトにしたみたいにカカシの両手をワイヤーで縛って身動きがとれないようにして、忍ばせて持って来たカメラで、全裸で大股を広げ眠っている恥ずかしいカカシの姿を激写する。 目覚めたカカシはひどい辱めに顔を覆うかもしれないし、ついでにそのネガを元にゆすればもう二度とナルトを力尽くでヤろうとは思わないだろう。 その瞬間を考えるだけでナルトの顔はにやけたが、勝利の祝杯はきちんと事を終えてからだ。 本当に寝ているだろうかとふと不安になり、カカシの寝顔を窺うものの、見るだけでそれを確かめるすべはない。下手に声をかけたり揺さぶったりしたら本当に寝ている場合、逆に起こしてしまいそうだし……などと考えながらナルトはズボンのポケットから小型カメラを取り出した。それを傍らに置き、カカシの服に手をかける。 アンダーシャツを捲り、引っ張って腕や頭から抜く。その下に鎖帷子も出てきて、面倒臭さからナルトのやり方は若干手荒くなったが、それもどうにか脱がせた。 「ふう……」 上半身裸にしてから額の汗を拭い、カカシを見下ろして一度手を止める。 ……先に、身動きが出来ないように縛っておかなくては。途中で起きられたら分が悪い。 確か、カカシはワイヤーを持っていたはずだ。 ナルトは慌ただしく一旦ベッドを降り、棚の上に置かれているカカシのウエストポーチの中を漁った。思った通り入っていたワイヤーでカカシの両手首を縛り、ワイヤーの先をベッドサイドまで伸ばして、それにクナイを突き刺す。 それからカカシのズボンを引き下ろして足から抜き、床に放り投げた。 残るは下着のみ。 「……」 何もしていないうちからカカシの股間の前が膨らんでいるから余計に気が引けるし、さすがに罪悪感というか何というか、ナルトはひくりと顔を歪めてしまう。オレだってやりたくてやるわけじゃねーんだってばよ……と口の中で言い訳のように呟き、眠りこけているカカシの前で合掌していよいよ下着に手をかける。 刹那、 「……!?」 ガクン、とナルトの視界がぶれてカカシの上に倒れそうになり、一瞬、何が起こったのか分からなかった。 動こうとして、下半身が固定されたように動けないことに気づき、自分の下肢を見下ろす。そこでやっと、ナルトは自分の腰にカカシの脚が巻き付いていることに気づいた。 「カ……」 名前を呼ぼうとする声が、喉がわなないて途中で途切れる。 視線を持ち上げると、眠っていたはずのカカシはバッチリ、普通に目を開けてナルトを眺めていた。 「……何してんのかな? ナルトくん」 「カ、カカシ先生、これは……」 あれ? なんで起きてんの? 睡眠薬は? と頭がパニックになるが、それ以上にヤバイ。我が身が危険だと四肢が悲鳴をあげている。 視界の隅にある小型カメラはナルトから手の届かないところにあり、ナルトの腰はカカシの脚でロックされている。 カカシはワイヤーで両手を拘束及び固定された状態で焦る気配もなく、むしろ冷めた目で口を開いた。 「おおかた何か企んでるんだろうと様子を見てみたら……」 まず、上忍からしてまだ下忍であるナルトの変化など気づかないはずもない。女性に変化したナルトが声をかけてきた最初から、カカシはそれがナルトだと分かっていてあえて口車に乗った。ナルトの目的を探る為だ。 つまり最初からバレていた。 カカシの口ぶりからそれを悟り、ナルトは滝のような汗が自身から噴き出すのを感じた。 「でっ、でも、睡眠薬は……?」 ナルトは確かに、カカシが睡眠薬入りの水を飲むところを見たのだ。 「残念ながら、忍者も手練れになると薬への耐性を持ってるからちょっとやそっとじゃ成分なんて効かないんだよ……ま、味でその手の粉薬だって分かったから引っかかった振りをしたまでだ」 「……」 「で……お前の目的はそこにあるソレで」 カカシの視線が、つとナルトの後ろに転がっている小型カメラに向かう。 「オレの裸を撮るってところか……? それも全裸か、ずいぶんイイ趣味してるじゃないの、ナルト。撮ってどうするわけ?」 「イイッテェ!!」 ギリギリと脚で腰を絞め上げられ、ナルトはカカシの身体の脇に手をついて腰を捩った。腰を浮かせようとするが、ガッチリと固定されていて全く逃れることが出来ない。 「ま……待った! 待ってくれってばよカカシ先生! 話し合おう! 話し合えば分かるってばよ!!」 涙目で訴えると、カカシが眉ひとつ動かさず「そうだな」と言った。 「話し合う気があるなら、まずこれをどうにかするんだな」 カカシが言うのは、カカシの両手首を拘束しているワイヤーとそれをベッドサイドに固定しているクナイのことだ。 「……」 (と……取ったら何されっか分かったもんじゃねーってばよ……) 獣を野に解き放つようなものではないか。ナルトは青ざめてゴクリと生唾を嚥下する。 しかしこのままでいてもカカシの足技で絞め殺されてしまう。 もはや緊迫感はSランク任務以上だが、相手にしているカカシがそのランクの忍だから当然だ。 我が身が可愛いナルトはカカシと話し合うことを選ばなかった。だが、カカシだってどうせそのつもりだろうからお互い様だ。 「影分身の術!」 今回、拘束されているのはカカシの方でナルト自身は両手が使えた為、可能だった。ボボンと噴煙がたち、ナルトがオリジナルも含めて三人に増える。 カカシが目を見開いた。 二人の影分身のナルトがバッと動き、オリジナルのナルトの腰を絞め上げているカカシの脚をそれぞれ押さえつける。 それで自由を得たオリジナルのナルトは腰を摩って身体を起こした。 「ワリィな、カカシ先生……恨みっこ無しだってばよ」 ナルトの諦めの悪いところはここでも発揮されていて、ナルトはカカシの全裸をカメラにおさめることをまだ諦めていなかった。むしろ、ここまで追い込まれたからこそ、と言うべきか。 こんな状態でカカシを解放したら自分が危ないので弱みだけはどうしてもおさえておかなくてはならない。 「御免ってばよ!!」 そんな声と共にカカシの下着を一気に下ろすと、やはり。 直に目にしたペニスは何故か大きく勃起して反り返っていたが、カカシの恥ずかしい姿をカメラにおさめなければいけない現状を考えればかえって大歓迎だ。 ナルトはしめしめと舌舐めずりし、カメラのファインダーを覗き込んだ。 カカシのペニスが映ったが、股間だけ撮っても それがカカシだと分からなくて意味がない為、引きにして全体が映るようにする。ピントを合わせている最中、ガッと鈍い音がした。間をあけず、 「うわ!」 「ぐっ……!」 影分身達のそんな呻き声がして、ボボッと影分身の術が解ける。 「……」 反応も出来ず固まり、汗を垂らしたオリジナルのナルトが見ているカメラのファインダーのピントはやっと合ったが、そこからカカシの姿は忽然と消えていた。 「さて……ナルト」 低い声は、ナルトの真後ろから聞こえた。その声が少し笑っているのがナルトには分かった。 「お仕置きだな」 *** サンプルは以上です。 前へ 次へ戻る1/1 |