「……はたけさんてさ、いつもこんなことしてたの」

「ん?まぁね。……でも、お前もしてくれてたよ?」

「……」

『はたけさん』は『ナルト』のことが好きらしい。
『ナルト』以外のやつは考えられないらしく、何者にも変えがたいんだそうだ。

自分もそうだったのだろうか。


ナルトの記憶がぶっ飛んだのが九月の十四日で、それが発覚したのが十五日。

第一印象で同じ班の仲間だったというサクラに好意を抱いたナルトが、
「お前は俺と付き合ってたんだよ」
と、上司であると聞かされていたカカシに衝撃的な告白をされたのが、二十五日だった。

最初は嘘だと思ったが、それはどうやら本当のようだった。
無意識にだが、自分でも意図しない内に口走ってしまうことがある。
それは大半カカシにエロいことをされる時だったが、頭が働かなくなるとカカシを「先生」と呼び、その大きな身体に抱き着きたくて堪らなくなった。

だから尚更、カカシはそういうことをナルトにするようになって、最初にこういうことをした日に

「毎日ヤってれば時間の問題できっと思い出すよ」

と言っていた通り、記憶に刺激を与える為にもとこういった行為はほぼ毎日で。
最初は嫌がっても後に頭も身体もいうことを聞かなくなるナルトはされるがままだった。

それに、最初カカシに言われた通り、脇の下に一つと右の内腿に二つ、本当に小さなホクロを発見した。
記憶を失う以前からこういったことをする関係だったのは、確かな事実のようだ。



(不健全過ぎるだろ……)

大して難しくはないと言われるDランクの任務で、任務先に向かって並んで歩きながら、恨めしくも隣を歩く大人に目をやった。

長身でナルトよりも背が高く、銀色の髪を揺らして歩いている。
今はついている口布はナルトと二人きりの時は外されていることが多く、初めて見た時はその端正な顔立ちに少し驚いた。
普通に見て女にモテるだろうと思えるこの人が、如何にして男の自分と恋仲になったのか。
やっぱり少し理解出来ない。

そして、ナルト自身も。
その反対側を歩くサクラのことを可愛いと思うのに、カッコイイ部類には入るだろうが、どう取り繕っても可愛いとは言えない、何より同性であるカカシのことを何故好きになって付き合っていたのか。
分からない。


「なんで先生なの」

「え?」

カカシと二人きりになった時に訊くと、カカシは軽く目を見開いてナルトを見た。

「はたけさんって俺の上司なんだろ。なのに、俺、無意識にはたけさんのこと先生って呼ぶ。あのサクラって子もそうじゃん。なんで?」

「それは……上司になる前は、担当上忍だったから」

「担当上忍って?」

「だから、先生」

「じゃあ、元教え子に手を出したんだ」

「……。まぁ、そう言われるとそうだけど」

気まずそうに目線を外す仕草は、ナルトに言われていることが図星だからに他ならない。









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