…にしても、 (自分で言うのもなんだけど、俺って結構しぶといな…) 怠い身体を実感しつつ、ボロボロの自分を見下ろしてカカシは心の中で呟く。 今度ばかりはもうダメだと思った。 リンやオビトや恩師、それから父親のことまで思い出して…父親に至っては夢の中で会いさえしたというのに。 また、こうやって此処に居る。 とりあえず目覚めた後、カカシが見た木ノ葉の里は壊滅的な状況で、生まれ育った故郷のひどい様子に胸が痛んだ。 まるで荒れ地だ。 ジャリ、と土を踏みしめてまだあまり言うことをきかない身体で歩く。 そうしていると 「カカシ先生、大丈夫だったんですか!?」 向こうから険しい顔をしたサクラが走り寄ってきて、「ま、何とかね…」とカカシは返した。 本当は全然大丈夫じゃなく、一度あの世にまで行ってきたほどなのだけど、この状況を見れば、そんなのは自分一人じゃないとわかる。 「他のヤツは?」 「多分皆カツユ様が…」 サクラが言いかけた時 「――カカシ先生!!」 響いた声は、若干空気すら揺らした。 振り向かなくてもわかった。このチャクラ… そちらを振り向いたカカシは、その瞬間、ドッと重い衝撃を受けて。 「……っ」 普段ならまだしも、今身体が全快していない状態では支えきれなかった。 そのままドサッと音を立て、忍らしかぬ尻餅をつく。 それにサクラは眉をひそめた。 「ちょっと、カカシ先生怪我人なのよ!?」 ナルト、と続けられた声を聞きながらカカシも自分に抱きつくその人物を見下ろす。 「痛いんだけど、ナルト」 「………」 そう言うカカシにも顔を上げず、ただひたすらにしがみつく、その様子でどれだけ心配をかけたのかわかった。 「カ…カカシ先生…、俺が里に帰ってきた時、チャクラもなくて…。…綱手の、ばあちゃんだって…」 「……」 「本当に…、本当に……俺、死んじまったのかと…」 声を詰まらせカカシのベストに腕を回すナルトは、僅かに震えていて、カカシもその背にゆっくりと腕を回し、抱きしめた。 すぅと空気を吸い込めば、胸に入り込んでくるナルトの匂い。埃まみれで汚いけれど、暖かい匂い。 此処に今、自分がいると実感できる。 本当に帰ってきたのだと。 「…、バカヤロ…」 「うん、ごめんな…」 ぐす、と鼻を啜るナルトの髪に柔らかく触れる。引き寄せて、顔を埋める。 …と、 「えーと…ゴホン」 サクラが気まずそうに咳払いして、カカシは「あ」と顔を上げた。 前へ 次へ戻る2/3 |