最近、心が空っぽに感じる。 イルカ先生が居て、カカシ先生が居て、サクラちゃんやサイやシカマルや、綱手のばあちゃんが居て……。 でも、それはほとんど任務だけの繋がりで、プライベートでは滅多に会うことがない。 皆、それぞれの家に帰るし、俺は俺の家に帰る。 それが時々、ひどく空しいんだ。 吐露 連日の任務を終えて、五日間の連休が訪れた。 最初の一日目は、疲れもあって丸一日寝て過ごした。 二日目は、一日目に寝過ぎたせいもあって身体が怠く、一日ゴロゴロして過ごした。 三日目は、ようやく起き出し、巻物を見たり、買い物に行ったりしたけど、すぐにやることはなくなった。シカマルに会いに家に行くと、いのやチョウジと出掛けたとシカクのオッチャンに言われた。 夕方、火影岩の上で里の景色を見て過ごした。 今日は、四日目。 昼前、朝日……というより高く上がった太陽の陽射しが眩しくて目覚めた。 シーツから起き上がり、寝癖のついた後ろ頭を掻く。 歯磨きをした後、沸騰させた湯をカップラーメンに注いで三分待ちながら思った。 なんか……俺ってば何もねぇ。 任務についたり、忍として動いている時は、いつも誰かしら傍に居る。 カカシ先生やサクラちゃん、サイ、綱手のばあちゃん……。 里の皆も、忍としての俺を評価して英雄だと言ってくれている。 でも、ひとたび任務から離れると、俺の周りには誰も居ない。 家に帰っても、待っている人は居ない。 休みの日、会う人や、会いに来てくれる人は居ない。 忍として認められたくて、がむしゃらにやってきたけど、時々思う。 俺が忍じゃなかったら、俺自身を求めてくれる人なんて、この世にいないんじゃないだろうか。 せっかくお湯を入れたのに、食う気が失せて、流しにラーメンを捨てた。 ポケットに財布を突っ込んで部屋を出る。 向かった先は一楽だった。 少しでいい。誰でもいい。他人との繋がりが欲しくて。 向かう途中、通りでカカシ先生を見かけた。 誰かとの繋がりが欲しくて出て来たけど、俺は敢えて、先生に声をかけなかった。 カカシ先生は冷静で、人を見る目に長けている。 今、孤独を抱えたままの状態では会いたくなかった。見透かされそうで。 孤独だけど、誰かとの繋がりが欲しいけど、孤独なやつだなんて他人には思われたくないのだ。 「オッチャン!俺、いつものね!」 いつもの笑顔を張り付けて一楽の暖簾をくぐると、テウチのオッチャンはいつもの笑顔で俺を迎えてくれた。 このぐらいの方が居心地がいい。 出てきたラーメンを夢中で啜っている俺の背後で、新たに暖簾をくぐる誰かの気配がした。 「テウチさん。俺もいつものお願いします」 その声だけで振り向かなくても誰か分かる。 隣に腰掛けた男を、俺は横目で見た。 「カカシ先生」 「よ」 さっき通りで見かけたばかりのカカシ先生。 俺が敢えて声をかけずに通り過ぎたことに気付いて追い掛けて来たんじゃないかと、つい邪推してしまう。 口数が多くないカカシ先生は余計なことを言わないから、事実は大抵分からないけど。 前へ 次へ戻る1/3 |