鈴が鳴るたびに(少し未来) チリン、と擦れ違いに鈴が鳴った。 振り返れば、母親に連れられた小さな女の子。 その子の鞄に小さな鈴がついていた。 「……」 それを見て小さく苦笑いすると、前を向いて歩きだした。 鈴は、あの人の象徴のようだと思う。 だから俺はいつも振り返ってしまうんだろう。 『仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズだ』 何よりも大事なことを俺に教えてくれた人。 あの人がいなかったとしても俺は生きていたと思うけど、でも、多分今の俺にはなっていなかったと思う。 上忍になって多くの人に認められるようになって、 ……先生が傍に居ない今になって、そう思うんだ。 請け負った任務は、久々にサクラちゃんやサイと一緒だった。 「このメンバーで任務って本当に久しぶりよね」とサクラちゃんが笑う。 うん、多分三年ぶりぐらいだってばよ。 ……でも、 でも、俺はさ。 「このメンバーで集まると、カカシ先生を思い出すわ」 俺は、そればっかりなんだ。 「ナルト」 俺の顔を見たサクラちゃんが、困ったように笑った。 「先生の話をするとダメね、あんたは」 行こう、任務先に遅れるわ、と腕を引いて促す。 分かってる。 俺達はもう子供じゃなくて、俺ら一人一人が上忍で、俺ら一人一人が先生のような役割をしなきゃいけない。 あんな風にならなきゃいけないんだ。 地を駆け、跳んで、木の枝へと。 分かってるのに。 サクラちゃんやサイの背中を見ていると、思ってしまう。 なんでここに先生が居ないんだろうって。 任務報告書はサクラちゃんが出してくれると言って、翌日の昼過ぎには解散した。 家路へと向かいながら、俺の横を小さな子供が三人、駆けて行った。 その後ろを、担当だと思われる上忍が歩いている。 (……) 思い出さないようにって、思ってるのに。 ……なぁ、先生。 やっぱり俺、ダメみたいだ。 前へ 次へ戻る1/3 |