その日以降も稀にナルトの視線を感じることはあったが、俺は振り向かなかった。 互いの為にも、その方がいいと思ったからだ。 俺はナルトがすごく大事だけど、そういう風には思えない。 なるべく二人きりにもならないように避けた。 けど、運が悪かったんだろう。 その日は、サクラが医療の関係で班を離れていて、サイはその前の任務で負傷しており、参加出来なかった。 俺とナルトとテンゾウの三人。 潜入任務で、一人が偵察、二人が待機という話になった。 「ボクが行きます。カカシ先輩とナルトはここに」 言って、テンゾウは潜入する為の準備をする。 俺の斜め後ろ、ナルトが少し動き、戸惑った様子を見せたのが視界の端に入った。 「……」 俯き、何も言わないナルトから緊張した空気が伝わってくる。 「じゃあ行ってきます。何かあったらすぐに」 「――ヤマト」 俺はテンゾウの言葉を遮った。 「俺が行く」 テンゾウが戸惑ったように俺を見る。 「え?何でですか?潜入偵察は特にボクの得意分野なんですけど」 「……俺が不向きだとでも?」 「えっ!いや、まさか……。勿論カカシ先輩がすごい方なのは知ってますよ」 「なら問題ないでしょ。お前がナルトとここで待機しろ」 「え、は、はぁ……」 あからさまに何故だという顔をテンゾウはしていたが、俺は構わずテンゾウとナルトをそこに残し、その場を離れた。 離れる前、少し見たナルトは、安堵したような、それでいて落ち込んでいるような表情を浮かべていた。 ……ナルト。 俺はお前にどう接してやったらいい? 俺が傍に居ると、お前は苦しいんじゃないのか? たまにそう思う。 緊張した空気が伝わってくる。 けど、俺が離れると、それはそれで悲しそうな顔をするんだ。 俺は、別にナルトが嫌いで避けてるわけじゃない。 ナルトが、俺が傍に居ると負担なんじゃないかと思うからだ。 でも……、ナルトのせいだけにするのはきっと狡い。 緊張しているナルトの傍に居るのは、俺も負担なんだ。 潜入した場では問題は起こらず二人に連絡を送り、呼び寄せて、日暮れ前、任務は無事完了した。 「……報告書はどうします?」 隣に並んで歩きながら、テンゾウが俺に言う。 テンゾウは口ではそう言ってるが、 「どうせボクが出すことになるんでしょ。分かってますよ」 というのが顔にありありと出ている。 大概分かりやすいよね、お前も。 ナルトは俺達の後ろを、あまり軽くはない足取りで歩いている。 視線はやっぱり感じた。 前へ 次へ戻る2/8 |