家に帰って一人になっても、先生のことばかり考える。 俺は、どこか変で。 誰にも相談出来なくて怖い。 夢から覚めたら、朝で、カーテンをしていない俺の部屋に日差しがサンサンと降り注いでいた。 「……」 目覚めは、幸せだったけど辛かった。 俺、夢でもカカシ先生のこと見た。 笑って、髪を撫でて「ナルト」って俺の名前を呼ぶ、そんな先生の夢。 どうしよう。 閉じた両瞼に両の手のひらを押し付け、天井を仰いだ。 任務が休みで、夕方、商店街をブラブラと歩いた。 別に買うもんなんかねーけど、カップラーメンが安かったら買い溜めしとこうかなって。 Tシャツに短パンという思いっきり気を抜いた格好で、闊歩する。 「!」 銀髪の人影を見つけて、俺は足を止めた。 それは、カカシ先生じゃなかったけど、一瞬カカシ先生かと思った。 (……俺、何ビビってんだ) 先生かと思った瞬間に湧き出た感情は、嬉しいよりもどうしようの方が強かった。 気付かれないうちに逃げようと、そう思った。 カカシ先生は何にも悪くなくて、普通で、おかしいのは俺の方。 違ってホッとした。 気を取り直して前を見て、少し先に居る一つ結びの人物が目に入った。 自分の知っている人間だと気づき、名前を呼ぶ。 「イルカ先生!」 駆けて行くと、イルカ先生は昔から変わらない朗らかな顔と雰囲気で俺を振り返った。 「ナルト。何だ、今日は休みなのか?」 「おう!イルカ先生も?」 カカシ先生とは違う、もう一人の俺の先生。 俺はイルカ先生が大好きで、尊敬してて、いつか自分が教師になるならこんな風になりたいって思ってる。 カカシ先生のことも大好きだし、尊敬してるけど、なりたいとかじゃないんだ、カカシ先生は。 俺は……、ただ自分がカカシ先生の傍に居たいと願ってる。 「あぁ、非番だよ。飯食ったか?何なら一緒にどうだ?」 「え!?マジぃ!?サンキューイルカ先生!」 「おいおい、まだ奢るとは言ってないぞ」 「けど最終的に奢ってくれんだよな、イルカ先生は!俺ってば知ってるもんね」 「……ったく、しょうがないやつだな」 イルカ先生は呆れたように笑って先に歩き出した。 イルカ先生にはカカシ先生に抱くような感情は湧いてこなくて、俺は普通でいられる。 わざわざ背中を見たり、顔を見れなかったり、逃げようとしたり、そんな必要はない。 俺は……カカシ先生にもそんな風になりたくて、この感情をどうにか出来るならって思ってる。 でも、分からないんだ。 どうしたらいい? 前へ 次へ戻る2/11 |