「いつも言ってるだろう、大事なのはチームワークだって。三人が三人ともそんなことでどうするの」

「……」

三人の前に立ちはだかり、諭すミナトのいつもより少し厳しい表情に、
ナルトは唇を尖らせて俯き、
サスケはそっぽを向き、
カカシは目を逸らさずミナトを見返す。


――上の三人、この春から晴れて同じ班になったのだが、個性も能力もてんでバラバラ。

しかし、言うならば飛び抜けて異色なのはナルトだろう。
カカシとサスケは、エリートと言われる血を持ち、実力もそれにひけをとらないが、ナルトはサスケに「ドベ」と言われても言い返せない劣等生だ。

「わかってますよ、そんなこと。悪いのはサスケです、先生。コイツがいつもナルトをバカにするから」

そんな状況で、ミナトに怯むことなく言い返したのはカカシ。
それにサスケは眉を寄せる。

「偉そうに…」

ボソッと呟いたサスケの声はカカシの耳にちゃんと届き、

「ま、お前よりは偉いかもね。未だ下忍の誰かさんと違って俺はもう上忍だし」

カカシは極めて冷静に返した。
落ち着いたと思ったのも束の間、またも雲行きが怪しくなっていく。

「この野郎…、黙って言わせとけば…」

「黙ってなんかいなかったでしょ。うちはのエリートだか何だか知らないけど、お前なんか全然大したことないんだよ」

言い合う二人の間で、真ん中にいるナルトはあうあうとその言い合いに入ろうとするが、何しろレベルが違う。

「火遁!豪火球の術!!」

「千鳥!!」

「ウワッ…」

完全に戦闘モードに切り替わった二人がグアッと向き合い、カカシがナルトの頭を下に抑えたことでナルトは被害を免れることができそうだったが、その前に

「いい加減にしなさい!」

ミナトの叱咤が飛んだ。

「忍の術は仲間に向けるものじゃないよ。わからない齢じゃないだろう?」

「…」

「……」

これ以上やると本気でミナトを怒らせてしまいそうだ。
普段が優しいだけに本気で怒らせると怖い。
なので流石のカカシとサスケも眉を寄せて大人しくなり、ミナトはそんな二人を横目に、ナルトに声をかけた。

「ナルト。大丈夫か?傷を見せなさい」

「大丈夫だってばよ!こんくらい慣れっこだってば」

ミナトが背を屈め覗き込んだナルトの腕や顔には、木々に引っかけられたような、確かにちょっとした切り傷と擦り傷。

「んー…。ま、浅いか。痛むようだったらすぐに言いなね」

「おう!」

元気に返事をするとミナトは目を細めナルトの頭を撫でて、

「へへ…」

ナルトはそれに照れ臭そうに笑った。
優しいミナトがナルトは大好きなのだ。









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