何をされたのか、写輪眼まで使えない。 どこかは分からないが、恐らくは木ノ葉だと思われる暗い地下牢に捕われ、ここ三日、脳や深層を探られていた。 危害を加える可能性があるとのことで、食事すら与えられず栄養は点滴で投与される。 生き地獄だ。 「面会だ。うずまきナルトだとさ」 顔も知らない木ノ葉の忍に言われ、サスケは自嘲した。 会話が出来るようにか、猿轡を片時だけ外された。 尤も、外されたところで、思い切り舌を噛む気力も体力も今は奪われている。 (ナルトか……) 最後に会ったのは確か、二年以上前だった。 いつになってもしつこく追って来ていたのに、ある時パッタリ姿を見せなくなった。 俺に仲間はいない、邪魔するな、と散々ナルトに繰り返していたサスケだが、ナルトが姿を見せなくなってから密かに気にしていた。 あいつは生きているんだろうか、とまで思っていたから、今日この時になってその事実を確認出来て良かった。 おかしいことに嬉しくさえ思っている自分がいる。 (こんな様を見られるとはな……) 嘲るようにして再び思った時、 「サスケ!」 廊下から走ってきて、ナルト……だと思われる者が現れた。 「ああ……、なんて姿に……」 サスケの監禁具合に、二年ぶりに姿を見せたナルトだと思われる者が鉄格子の向こうから悲痛に顔を歪ませる。 「すまねぇ……!俺もお前を説得に行きたかったけど、途中から忙しくなって行けなくて」 しかしこの喋り口調からして、やはりナルトらしい。 「……ナルト、か?」 「そうだってばよ!忘れちまったのか!?」 「……お前こそ、その姿は何だ。ふざけてるのか?」 サスケは眉を寄せた。 二年ぶりに見たナルトは、何故か女の姿だった。 長い金髪を耳の下で二つに結い、胸や括れがある。 「これにはちょっとワケがあって……」 「……ワケだ」 「ナルト」 ワケだと、と言おうとすると、もう一人奥から現れた。 「カカシも居たのか」 「あぁ……、サスケ。久しぶりだな」 それは、ナルト以上に会っていなかったカカシだった。 第七班時代以降会っていなかったというのに、外見は全く変わらない。 しかし、その手元には何故かカカシと同じ髪の色の赤ん坊が抱かれており、激しく泣いている。 「ナルト、多分おっぱいだと思うんだよ。さっきからずっと俺の胸探ってて」 「え!?今!?」 サスケそっちのけで、その赤ん坊をナルトに渡すカカシとそれを受け取るナルトのやり取りはどこか異様だ。 まるで、本来男であるナルトの胸から乳汁が出るかのような言い草だ。 (おっぱい……?おっぱいだと?) 「……なんだ、その赤ん坊は」 顔をしかめてサスケが言うと、カカシが答えた。 「俺達の子だよ。この間生まれたんだ」 「……、な、に?」 (…………聞き間違いか?) 今、俺達の子と言ったような。 前へ 次へ戻る2/4 |