つまりは正式に結婚するより早くお腹の中にはカカシの子供がいた、なんていう細かいことは置いといて…(時期的には女体を固定させた頃)

任務中、前触れもなくぶっ倒れ、原因もわからず病院に行き、告げられたのはつい最近だ。


『ご懐妊です』

一緒に病院まで付き添ったカカシはその言葉を聞くなり、人目も憚らずナルトを思い切り抱きしめる喜びようで、医師に

『だ…旦那さん、ちょっと落ち着いて下さい』
と諭されたほどだった。


男だったはずのナルトが未だに女のままで、その上ちゃんと妊娠まで。
カカシが知り合いの医療忍者に貰った“変化をその状態で留める薬”を疑っていたわけではないが、まさか本当に妊娠するとは…とナルト含め周囲も衝撃な限りだが。

それ以降、身体第一ということでナルトは通常任務から外され、殆ど雑務と言えるような任務しか回ってこない。
また、家庭面でも既にカカシと一緒に暮らしている為、
「無理するな」と家事はほぼ全般カカシがするような徹底の仕様だ。


「じゃあもうお汁粉は没収な」

突っ伏したナルトの目の前のお汁粉をカカシが取り、勿体無いのでちょっと食べてみたものの、カカシはそもそも甘いものは得意じゃないので、
「あま」と眉をしかめて流しに捨てる。

「キツイならもう寝たら?」
「うん…」

「大事な時期なんだから」

元々ナルトには割かし甘かったカカシだが、妊娠してからは子供のこともあるのか余計に甘い。

「大丈夫」と言うナルトの言い分も聞かず、ベッドまで抱き上げて運んだ後に横に寄り添う。

(カカシ先生、本当に子供欲しかったんだな…)

そんなカカシを見上げながらナルトは思う。


――忍びの里ということで短い人生を送る者が多い為、木ノ葉の女性の平均出産年齢は結構早い。
なので病院にて懐妊の知らせを受けたナルトにも、医師や看護婦は
「まぁ、若い奥さんね」
と微笑ましく言っただけだった(もっともその奥さんが数ヶ月前まで男だったと知れば驚愕だろうが)。


「…カカシ先生は子供、どっちがいい?」

金髪に優しく指を絡めるカカシに訊くと、
「ん…?」とカカシが聞き返す。

「男と女、どっちが嬉しいってば?」
「そうだなぁ…。お前も子供も問題なく、無事に産まれてくれたら俺はどっちでも嬉しいよ」

そう目尻を下げた後で、

「でも、欲を言えばナルト似がいいなぁ」

と続ける。

「あーけど、そうすると女の子だったら嫌かも。いつか知らない男が“お嬢さんを下さい”とかって言ってくるんだよな。それは嫌だ……」

などと、眉を寄せて真剣に考え出すカカシには

(どっちでもいいとか言うわりにすげーこだわってんじゃんか…)

と少し呆れるナルトだが、

(俺は、カカシ先生似だったらどっちでもいいなぁ…)

なんて思ってしまうから多分どっちもどっちだ。


ヨチヨチ歩きする銀髪の子供。
想像するだけで可愛くて、思わず顔がにやけてしまう。
でも、愛するカカシの子供が産めるならそれだけで幸せだ。

「何?」
「…何でもねぇ!」


――二人の待望の子供に対面するまで、後少し。













END(20091015)






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