…だってこの状態。もう隠しても無駄というか。


昨夜、ナルトはカカシに改めてプロポーズされ、婚約指輪を貰ったのだ。

『必ず幸せにするから。受け取ってくれる…?』

と、らしくもなく少し紅潮した頬で小さな箱を渡されて。

『結婚指輪は、またちゃんとしたものを渡すから』と。


「カカシ先生は上忍だし、高級取りだろうからそりゃそこら辺は苦労しないわよね〜」

気だるげに頬杖をついたサクラが羨ましい、と溢し、

「…って違う違う!!そうじゃなくて!あんたら男同士でしょーが!!!」

ノリ突っ込みだったのか、バン!!と机を揺らして叩く。

「それが…俺ってば、コレもう元に戻らねぇみたいで…」
「ハァ!?」

目を白黒させるサクラに、ハハ…とやつれ顔のナルトは、自分の長い髪を束にして握る。
つまり、ナルトが指すコレとは仮初めのはずの女の姿。

流石にどういう経緯でこんな状況に陥ったかまではサクラに話して聞かせる気にならないが、

前回あの後のやり取りは以下の通りだ。


『ナ〜ルト。別に女のままだって、今までと何も変わらないって』
『変わるってばよ。力とか、弱くなっちまうじゃねーか…』

『サクラを考えてみなさいよ。性別は関係ないだろ?』
『…。でも…、俺ってば火影になりたかったのに…』
『綱手様を見てみろ。女性だけど立派に火影でしょ。ね?』

…確かに。
なカカシの言い分に言い負けたとも言える展開だが、
過ぎてしまったことはもうしょうがないと半ば無理やり自分を納得させたのも一理だ。


「…はっ!」

ギャーギャー叫びながら目を白黒させていたサクラが、またも何か思い付いたようにハタと動きを止める。

「結婚するってことは…まさか、今もう付き合ってるってこと!?」
「え、………うん」

そりゃあ、付き合ってなければ結婚するはずがないだろう。
しかし目の前のサクラは完全に気が動転している様子。

「いっ、いつ!?いつからよ!!?」

追い討ちをかけるかのようにナルトの肩を掴み、ユサユサと激しく揺すってきた。

「さ…、三年くらい前、かな」
「……」

ヘラッと笑ったナルトに、今度こそ顎が外れるんじゃないかというくらいポカンと口を開け、

「サ…サクラちゃ…」


次の瞬間。

「……こんの不貞師弟がァーーーーッ!!!」


――ドッカーン!!

甘味処は破壊され、白く煙を上げた。


…その弁償を全額自分が持たなければならないというのは納得いかないナルトだが、
近い将来カカシの扶養に入ることになっているので請求代金は必然的にカカシにいく。

サクラの言い分は、

「カカシ先生は高級取りだから問題ないわよ」

やっぱりそれなのである。













END(20090830)






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