衝撃的過ぎる発言に、ウトウトしていたナルトも嫌でもバチッと目が覚めて、ガバリと勢いよく身体を起こした。

「……子供?」

「ああ…、この間任務の時、依頼人の子供いただろ?二、三歳の。あーゆうの見ると、欲しくなる…」

「……」

どこか遠い目で言うカカシ。
ナルトはそのカカシの言葉に只々固まった。


――ナルトとカカシは付き合っている。

幼い時から傍に居て、ナルトを可愛がってくれたカカシ。
ナルトもカカシが大好きで、全力でなついて…

年月が流れる内、関係が自然に移り変わるのにそう時間はかからなかった。

“教師と生徒”から“恋人同士”に。

ただ大好きでいつの間にかそうなっていた。
カカシはいつだって優しくて。
長い間一緒に居た。
身体の関係だって、一応ある。


…けれど、

(……これって、遠回しに“別れよう”ってことか…?)

勿論ナルトは男なのだ。
どんなに愛を捧げて身体を繋げたって、
どんなに強く望んだってカカシの望む子供など、到底捧げることなんてできやしない。

「俺ももう結構いい年でしょ?自分の遺伝子残したいっていうか…」

突きつけられるのは、自分じゃダメだという事実。


「…わ…わかったってば…」

久しぶりの休日を二人で過ごせると喜んでいたのが嘘のように、幸せの絶頂からどん底に。

「…で、思ったんだけど――…」

目の前が暗くなったナルトに、カカシはいよいよ本題に入ろうとする。
聞きたくなくて

「だから、わかったって!」

それを遮りナルトは叫んだ。

改めて言われるのは辛い。

『お前じゃ無理だから』

なんて。
そんなのナルトが誰よりもわかっているのだから。

カカシは少し目を見開き「…いいのか?」と訊いた。

いいも何も、だって別れるほかないではないか。
傍に居たかったけれど、カカシの幸せを邪魔する権利なんてナルトにはないのだ。

ゆっくり頷いたナルトに目を細める。

「ありがとう」


…泣きそうになった。









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