(昼間ラーメン食ったばっかなのに夜もラーメンなんて有り得ないでしょうが…)

「その辺座ってていいよ」

カカシが促すと、ナルトは落ち着きなさそうに「うん」と言って、そろりそろりとソファに座りソファの上にあったクッションを抱えた。

(ぷ…、借りてきた猫みたいだな)

いつもはギャーギャーとうるさいのに。

「なんか…」

「…ん?」

台所に向かおうとしたカカシは、呟くようなナルトの声が聞こえて顔だけそちらに向けた。

「なんか、カカシ先生今日優しいってばよ。なんかあったのかよ?」

「……」

なんか企んでるとか?と眉を寄せて言ってくるナルトに、お前の中の俺のイメージってどんなのよ…と思う。

「気のせいだろ」

一言だけ言って台所に向かった。

企んでるも何も、何か企んでナルトを騙したことなんか一回もない気がするんだけど。
…まあ、優しいってのは否定できないかもしれないが、そこに企みなんかない。
今日シノやサイと居て、その後でナルトを見たら優しくしたくなったのだ。


有り合わせで作った飯でもナルトは喜んで食べて、食べ終わるとすぐに帰ろうとしたので、
「少しくらいゆっくりしていきなさいよ」とカカシは引き止めた。

ナルトは「え?…ああ、うん…」と戸惑いがちにカカシを見る。

基本的に、ナルトはうるさくて言いたいことは言うが、優しさを向けられると、それがちょっと迷惑だな…とか困ったな…というものでも、断ることはしない。
そういう性格なのだ。

カカシがソファに座った後、イチャイチャシリーズを広げ、隣をポンと叩くと、

「……」

少し考えたような顔をした後、ナルトはやはりそろりそろりとやってきて遠慮がちに隣に座った。

(……)

自分から引き止めておいてあんまりなのだが、カカシは特に話すこともなくまたイチャイチャシリーズに目を戻す。

「カカシ先生…俺何してたらいいんだってばよ?」

もっともなことをナルトが訊いてきても
「くつろいでればいいでしょ」と軽く答えて。

しかしナルトはやはり退屈したらしく、カカシの本を覗きこんでは
「活字…目がいてぇってば」と呟いたり、
「ふあ〜ぁ…」と欠伸をしたりしていて。

そう時間も経たない内に、ポス…とカカシの肩に凭れてきた。

一瞬何の真似か、と思ったカカシは肩をひいて、途端、反対側にグラ…と倒れるナルトの身体。

反射的にソファに手をつき、ナルトの後頭部を支えて…

「……」

体勢的に押し倒してるような感じになった。

(…、…なんだ…コイツ…)

顔を見れば、いつもキラキラしている瞳は閉じられ、ナルトは完全に熟睡している様子だった。
ただでさえ疲れていたのに引き止めたカカシによって退屈な時間を味わい、もう限界だったらしい。









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