前々から忍仲間に誘われていた飲み会。
あまり乗り気でなく付き合いで渋々と顔を出して、正直に言うと来て良かったと思った。
飲み会には普段なかなか顔を出さないその姿が奥の席に見えたから。

任務は被りたくても被ることはなく、接点はもちたくてももちようがなかった。
こんなチャンスは二度とない。
勇気を出して恐る恐る席に座った。
…はたけカカシの隣の席に。

酒を飲む為に下ろされた口布で晒された素顔。
噂には聞いていたが、本当にかっこいい。
横顔に見惚れてしまう。

そして、今しかないと自分に言い聞かせ、酒の勢いを借りて……多分他から見たら不自然でしかなかっだろうが、さぞ今思い付いたようなふりを装って「そういえば」と訊いた。

「付き合ってる人はいるんですか?」

自分としては勇気を振り絞ったものだったが、少し考えるように苦笑したカカシの答えは
「付き合ってるやつは居ないけど好きなやつは居るよ」
というものだった。

「部下で、男だけど」

「え?」

あっさり言い放たれた言葉の意味。
最初理解出来ず、驚いて見返すと、カカシはこちらを見て、
「普通じゃないでしょ?」
と笑った。

普通じゃない。
つまり、好きなのはその、部下で男のことなのだ、と。
そこでやっと理解した。

「……」

…なんでそんな重要且つ重大な秘密を親しくもない自分に…。

けれど、口調や雰囲気からその事実はカカシからすれば恥ずかしいことでも引け目でもないことが分かる。
カカシは特に周囲に隠していないのかもしれない。

「……知ってるんですか?その、部下の、男の子は。カカシ先輩の気持ちを」
「知らないよ。……ま、知ったらひいちゃうだろうしね」

…やめればいいのに。
相手の子はカカシの言う通り知ったらきっとひくだろう。
悲劇的な末路は目に見えている。

「あの、カカシ先ぱ」

「アイツに、嫌な思いさせたくないんだよね」

「……」

溜め息混じりにどこか遠くを見て言うカカシに、言いかけた言葉を飲み込んだ。
──チャンスではないか、と。
今だ、と思い「私のことも考えてくれませんか」と切りだそうとした自分に顔が熱くなる。

全然、眼中にもないじゃないか。


「そう、ですか…」

こんなにもかっこいい男に、こんなにも想われる男の子ってどんな子なんだろう。
どんなテクニックを使ってハマらせたんだろう。
もしくは、そんな狡猾なことばかり考えている時点で、自分は選ばれないのかもしれない。

「でも、うまくいくといいですね」

当たり障りない言葉を返すと、
「…きっと無理だけどね」とカカシは目を細めた。









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