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ブブっと二度ほど振動した携帯電話に飛びついた。
花が咲いたように笑顔だったナルトは画面を見て、やにわに顔を曇らせ、不服そうに唇を尖らせた。

画面にあったのは【時間ができたらね。】という単調な一文。
それは、ナルトの恋人が書いて寄越したメールである。
恋人とは、付き合って半年ほどになる。
まだ初々しい時期でもあり、少し慣れが見えてきた頃でもあり。
ナルトの恋人は大人であるから、それもあってナルトは甘え、しょっちゅうのようにメールしていた。
【今日はこれ食べた】だの【こんなことに腹が立った】だの【今何してんの】だの、用事があってというよりは、定期連絡のような感じだ。
ただ恋人と少しでも繋がっていたくて暇さえあればしょっちゅうメールしている。
しかし、繰り返すようだが、ナルトの恋人は大人だ。
日中は仕事をしているし、時折、携帯を見たって、用事とも言えない内容のメールばかり送りつけてくるナルトの相手をするのは少々疲れるところもあるのだろう。
メールの返事は、【今日はこれ食べた】と【こんなことに腹が立った】に関しては返ってこず、【今何してんの】についても数時間経ってから【出掛けてた】と返ってくる程度。
【ラーメン食いに行きたい】というメールに【時間ができたらね。】。その一文だった。
ナルトがメールを送れば送るほど恋人からの返事は短くなっているような気がする。

ブー、と今度鳴ったのはインターホンの音だ。
日も落ちて付近も真っ暗になった夜十時、ナルトはとあるマンションの一室を訪れていた。
ドアが開くのを待って、開いたドアの向こうから顔を覗かせた男……
銀色の髪をした長身の男の姿を見て、声をあげた。

「カカシ先生!」

恋人はナルトの『元』先生だった。
中学生の時、家に来ていた家庭教師だ。
なので、当時の癖が抜けず、未だに「先生」と呼んでいる。

「カカシ先生、冷てーってばよ。メール素っ気なさすぎ」

ナルトが言うと、カカシは、ハハと緩く笑った。

「……ま、オレもちょいちょい忙しくてね……」

本当は恐らく、カカシも「たいしたことのない用事でしょっちゅうメール送るなよ」というのが本音かもしれないが、しかしそれはカカシは口にしなかった。
分別を弁えた大人であるし、それでナルトが拗ねるかもしれないからでもある。
けれど一番の理由は、惚れた弱みだろう。
ナルトがカカシとこうして付き合っているのは元々、カカシからのモーションによるものだった。
だから基本は甘いし、優しい。
ナルトがこんな夜遅くにカカシの部屋に来られるのもカカシの住むアパートがナルトの家から歩いて十分弱の近所だからだが、それだってナルトにすぐに会えるようカカシが近所に引っ越して来たものだ。




続くかもしれない
ss 2014/06/11 22:31
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