\ らくがきおきば /

なんとなくつらつらと
グロ?で意味不です

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目が醒めるとそこは白だった。

一面に広がる白、しろ。
自分が立っているのか落ちているのか進んでいるのか下がっているのかわからなくなるような白。

しかし突如としてその白をざわめかせるものがうまれた。

扉、黒い。

ひとりは迷わず黒に飛び込んで、また世界が白になった。


ひとりが入った扉の中は、廃墟と化したビルのようだった。
薄暗い錆のなか、ときどき崩れたコンクリートや割れたガラス。

廃墟は一本道。ひとりはただひたすらに、道を辿る。
奥にはまた扉が見えた。

一本道は思ったより長く、永かった。
ひとりは脇目もふらず、ただ一本道を辿る。


道の途中、奇妙なオブジェクトに立ち止まった。
ガラスケースの中に、綺麗に切り取られた人間の耳があった。

きっとこの耳の持ち主はもう誰の声も聞くことはなく、彼の愛すら感じることはないのだろう。

他人事のように鼻で笑ったが、聞こえるはずの愛を感じなかったひとりの耳は腐り落ちぼたぼたと崩れたコンクリートに落ちたので、笑い声が聞こえることはなかった。


さらに道を進むと、またガラスケースがあった。
中身は歪んだ笑みを浮かべた人間の唇だった。

この唇の持ち主はもう、誰かと笑いあったり、彼に愛を伝えることはできないのだろう。

これまた他人事のように歪んだ笑みを浮かべようとしてみたが、コンクリートに染みが増えただけでうまく笑えなかった。


次のガラスケースには関節で丁寧に切られた人間の手足。

もうこの手足の持ち主は、愛しい彼に触れることも、彼の元へ歩いていくこともできないだろう。

そんな他人などどうでもいい、自分が歩いていければ、と思ったが、みるみるうちに視点が低くなり立ち上がることすら出来ずに這いつくばった。


もう歩くことのできないひとりの目の前に現れたのは、最後のガラスケース、中には宝石のように赤く光る瞳をもった目玉。

この目玉の持ち主は、もう二度と彼の姿を見ることはなく、

だんだんとひとりの視界は黒く染まっていき、ついに何も見えなくなっ




溶けてきた頭で必死に考えた最後のことは、なぜ自分は自分を黒く染め上げ、染まる前の体のパーツを丁寧に切り取ってガラスケースに飾ったのか、という事だった。







2010/07/09 23:19