(ユメSide)

僕とルネはあまり会うことがない。それはお互い別行動しているからだ。
一回依頼を受けると長期にわたることが多い僕らの仕事は、一緒にチームを組んでいない限り滅多に顔をみない。

そもそも、定期的に会う理由が僕たちにはまだない。
僕はあるけど、ルネにはない。うん、そういった方が正しい気がする。

“親友”という固定概念。

僕とルネは仲間でもあり、そして親友でもある。数多くいる“友達”の中で親友という位置を獲得する頃はまだルネを親友だと思っていた。僕だって、ずるがしこく近づいて親友になったわけじゃない。本当にその時はそういう意味でルネが好きだった。その時は。クロックスも居て、三人でいるのが楽しかったし。

ルネに対しての感情が変わったのはルネと行動を分かつときだった。
なりゆきで行動を共にしていたけれど別れはくるものであり必然だ。しかしルネと別れるとき無性にさびしくなった。初めは色々あったけれど仲良くなったし、1年間も一緒にいたんだ。寂しくなるのは当然だと思った。
でも、毎日のように浮かんでくるルネの顔。思い出すたび胸が痛んで会いたくなった。どうしたら会えるのか考えた事もあったけど、自分自身が気持ち悪かったのでやめた。
クロに相談したら「それってルネの事が好きなんじゃないかな」と言われた。指摘された瞬間、顔が急に赤くなり恥ずかしくなった。クロもつられて赤くなってたっけ。

連絡を取って集まったり、依頼を受けたりすることはあるけどそんなの一時的だ。ルネは忙しそうだし、僕も僕でやらなきゃいけないことがあるから本格なチームを組むことはできない。
なにより一緒の時間を過ごしていても、ルネにとっては所詮ただの親友なのだ。

この前偶然二人で会ったんだけど、今度はクロックスも呼びましょうねとか最近いい髪飾りがないだとか、イベントに一緒に行く人を探してるだ、ユメのくせにというし…。
とにかく女友達だとでも思っているのだろう。
次に会う約束を取り付けるので精一杯な僕は、ルネが行きたがっているイベントの付き添いに立候補することしかできなかった。
ルネは嬉しそうにそれを承諾してくれた。可愛かった。その笑顔を見て癒されもしたし、罪悪感も感じた。
僕はルネの純粋さに付け込んだんだ。親友という立場にもすがったと思う。でもルネに会いたい気持ちが勝ったんだ。僕って、そういうやつなんだなと嫌悪したけど。


本当は二人っきりがいいけど、ルネはそんなつもりじゃないだろうなあ…。
まあ、そのイベントにクロも誘おうと思う。僕はクロと一緒に行動しているから誘うのは簡単だ。クロを呼んだらルネ、喜ぶかな。すごく会いたがってたし。
とりあえずその日までにルネに似合う髪飾りでも見つけよう。見つからなかったら、当日ルネが欲しがったものをあげようかな。




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