審美眼
(斑シリーズ)
「意織ちゃんって本当に美人さんよね〜」
「……前々から思ってたんですが、桧野さんて眼が悪いですよね。遂に老眼がはじまりましたか?」
「ち、違うわよ!」
「なら趣味が悪いんですね」
「なんでそういうことゆーのっ!意織ちゃんは美人さんなの!綺麗なの!」
「なんでムキになるんです」
「なるもん!意織ちゃんはぜったい世界一の美人さんなのーーっっ」
「………分かりました。桧野さんは更年期障害です」
「なんにも分かってない!」
「分かってますよ。どんなに趣味が悪くて寄る年波に負けつつあっても、桧野さんは世界一可愛いってこと」
「…っ。…うう…意織ちゃんの…意織ちゃんの…」
「文句はベッドの中で聴きますよ」
ほら、そうやっていやらしく笑う顔でさえ、君はとっても美しいのに。
end
後書き
prev | next
戻る