タイプ
(斑シリーズ)


「あらあら、誰かしら。道端に紙くずなんか捨てて〜。ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てないと」

「そうですね。…あ、桧野さん、拾うのは少し待って下さい」

「え?どうして意織ちゃん」

 わたしの言葉を無視し、ヒールの高いブーツ上げると、意織ちゃんは勢いよく紙くずを踏み潰した。

 そして爪先で弄ぶようにして、道端に落ちていたにしては若干の白さを保っていたそれを、黒く歪に汚して行った。

「………」

「ふう、スッキリした。あ、もういいですよ桧野さん」

「……意織ちゃん。何でゴミをわざわざ踏み潰して更に汚くしたの?」

「汚いものは、より汚したくなりませんか?」

「ならないよ!」

「…あぁ、桧野さんは汚される側の人ですからね」

「わたし汚物扱い!?」


end

後書き

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