「なー、暇。」
「あっそ。」
反応がそっけねぇ。勉強なんてガリガリやりやがって‥‥授業中、寝てんだろーが。って、眼鏡小僧が言ってたぞ。
「あ、トシ。」
「何?」
「お兄ちゃんの部屋に新しく買ったマンガあるから読めば?」
こっちを見向きもしない彼女に「そうする。」と応えて部屋を出た。読みたかったやつの続編だし、別にいいか。
「おい、入るぞ。」
隣の部屋のドアを開けながら、部屋の主は言うと不機嫌そうな顔でこちらを見てきた。
「何でさァ、今忙しいって言ってんだから、死ね土方。」
「誰が死ぬか、ばかやろー。てめーが死ね、総悟。」
妹同様机に向かって勉強している総悟に「マンガ。」と一言声をかければ、「そこ。」と足で場所を示された。
「ありがとな。」
「ん。」
ドアを閉めて部屋を出て、また隣の部屋に入る。もちろん、俺が入ってきたことにも反応を見せない。
テスト週間で部活が休みになったから、遊びに来たのに、兄妹揃って俺に構わねぇ。
「だって、次のテスト落としたら、赤点だし。」
口を揃えて奴らは言った。テストをほっぽいて会いに来たのに、
報われない、俺。
(まー、俺は余裕なんだけどな。)