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木兎の幼馴染

「俺に着いてこい!」が口癖の木兎はいつもキラキラした双眸で幼馴染を誘う。駄菓子屋だったり公園だったり、木兎の後ろは冒険のように楽しく、いつも彼の後ろを着いていく幼馴染。
ある日家族ぐるみで行ったキャンプの最中、川遊びに誘われまた後ろを着いていく。今日はどんなキラキラが待っているのだろうか、と期待しながら。しかし、木の棒を持って先導する木兎の後ろ姿ばかりを見ていたせいで、躓き転んでしまい膝を怪我してしまう。幼馴染の怪我の具合に木兎は泡を食うと、自分のTシャツで血を拭って「俺が守るからな!」と幼馴染をおんぶして家族の元へと帰る。それからは、「俺に着いてこい!」という口癖と一緒に幼馴染を手を握る。ちなみに、血をTシャツて拭ったことと怪我をさせたことはあとからきっちりと親に怒られる。閑話休題。






木葉の幼馴染

器用貧乏だと揶揄されることに、言葉故の切なさと頼られる誇らしさが犇めきあいなんとも複雑な気持ちになる木葉。今日も今日とて「器用貧乏」と言われたことに落胆していると「秋紀のかっこよさは私だけが知ってる秘密みたいでなんか嬉しい」と向日葵のような笑顔を向けてくれる幼馴染がいて、今日も救われている。






侑と治と幼馴染

小さい頃から双子と一緒にいるからか、3つ子のように育てられてきた幼馴染。侑と治は喧嘩ばかりだが、幼馴染が間に入るとぴたっと止まる。今日も今日とて2人の喧嘩を止めようと間に入ろうとした刹那、「俺の方がサムよりもあいつのこと好きやから!」「は?俺や。絶対渡さへん」と聴こえて思わず固まってしまう幼馴染。「俺とこいつどっちが好きなん!?」「えっ、えっと……」






赤葦と幼馴染

隣の家に住む京治がなんだか最近素っ気ない気がする。バレーが忙しいのか勉強が忙しいのかと色々考えてみたけれど、なんでも卒なく熟す性格なのでなんとなく違うような気がして、勇気を振り絞って訊いてみれば少し苦しい顔をする京治。「俺、幼馴染やめたい」「っ、」突如申告された言葉。本当に怒らせることをしてしまったみたいで、手を丸め母指球に爪を立てて泣いてしまいそうになるのを耐えていると、「俺は幼馴染から……恋人になりたい」と先程よりも切なそうな、でもどこか照れくさそうな声がまた聴こえて、掌の力を抜いた。泣くのを堪えるのは難しい。