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佐久早

佐久早に構ってもらいたい泊まりに来ていた彼女は、家の中でストレッチをする佐久早の背中にぐりぐりと額を押し付ける。すると聴こえた舌打ちに、負けじと体ごと押し付けると「お前汗かいてるだろ」と冷酷な声。「じゃあシャワー入ってくればくっついていいんだね!」「は?」「浴びてくるから待っててね!」佐久早が返事をする前に浴室に駆け込む。絶対構ってもらうという心に決めて。


赤葦

赤葦に構ってもらいたい寝顔を堪能していた彼女は、まだ眠る赤葦の背中に腕を回して胸板に鼻を押し付けて香りを肺いっぱいに吸い込む。「んっ、」と頭の上から聴こえた声に顔を上げれば、夢現になりながらも睫毛を蝶の羽のように瞬かせる赤葦と目が合う。「どうしたの?」掠れた声に「おはよー」と返してもう一度鼻を押し付けると、ぎゅうっと背中に回していた腕の力を入れてくれる赤葦。



松川

松川に構ってもらいたい寝起きの彼女は、カーテン越しに差し込む陽光にて目が覚めた時に目の前にあった端正な顔にばくばくと心臓を騒ぎ立てながらも、誤魔化すように松川の首元に顔を押し付ける。「朝から構ってちゃんだね」どこか呆れたような、けれども優しく宥めるような声にどうしたって心臓が落ち着かない。でもやっぱり構ってもらいたいのでくっつくのはやめない。





北に構ってもらいたい寝る前の彼女は、明朝からの農作業のために既に布団に入ろうとしている北の腰にしがみつく。けれど、両親と祖母への就寝の挨拶も寝る準備などもいつもと変わらないルーティンをこなす北は崩せず、やはり北が布団に入ってしまうので落胆してしまう。けれど、いつもと変わらず、寝転んだあとも隣に寝る彼女の頭を撫でてくれるから全て忘れて大満足だ。いつも通りが愛おしい。



黒尾

黒尾に構ってもらいたい休み時間中の彼女は、普段から飄々としている黒尾に嫉妬してもらいたいが為に同じクラスのほかの男子と話してみる。黒尾は夜久と話しているらしくこちらをあまり見てくれず、結局休み時間が終わってしまいしょんぼりしながら席に座ると制服のポケットの中に入れていたスマートフォンが振動する。取り出しタップして確認すれば、『構ってちゃんめ。覚えておけよー』という不吉な文章。けれど、こんなのも嬉しいんだから重症だ。『次の休み時間ね!!』と返してみる。