200文字SS




月島と山口

休み時間。彼氏にフラれたマネちゃんが泣いていると、「ちょっと」と言葉が飛んでくる。振り向けば、こちらを見下ろす月島とそわそわと落ち着かない山口の姿。
「人の教室の前で泣かれたら鬱陶しいんだけど」
と辛辣な声にまたもや涙腺が緩むけれど、事実なので泣かないように下唇を噛む。はぁ、と聴こえたため息は重たく、謝ろうとした刹那。ぐっと瞳に押し付けられた学ランの袖。
「鬱陶しいから早く泣き止んでよ」
言葉こそ棘があるものの、涙を拭く手つきは可愛い。
「お疲れ様」
先程まで慌てていた山口の声もなんだか穏やかなもので、マネちゃんが泣いているのがバレないように隠しながら周りを見渡してくれる。





二口と青根

休み時間。彼氏にフラれたマネちゃんが泣いていると、突然現れてはこちらを覗き込む二口。それに驚きながらも顔を逸らすと「泣き顔ぶっさいくだなー」と揶揄する声。青根が後ろで二口を止めている。ムッとしながら二口に背を向けると「男の趣味も悪いし」と悪口は止まらない。いい加減言い返そうかと口を開きかけたところで、「だから別れて正解だろ。さっさと忘れろよー」と頭の後ろで腕を組みながらそんなことを言うから唖然としてしまう。先程まで厳粛なでも優しい顔で止めていた青根も、二口の言葉にうんうんと頷くのがなんだかおかしくて、涙を拭いて笑ってみせる。