短編?読み切り?むしろネタ+毛? | ナノ


色々初パターンである。



2.生い立ちっていうか設定



「妹達を太陽の下(もと)に連れ出すなよ」


そう言って「忍者かな??」ってくらいのスピードで消えてった冨岡さん。因みに竹は無理矢理装着させられた。ヤバい既に口元蒸れてる。いやむしろ既に霜ついてる(原因:吐息)。


「ふんっ」


冨岡さんの気配が遠退くのをしっかり感じ取ってから(こーゆーとこはまだ感知出来るんだな…)すぐにポイした。

…では流石に申し訳ないため、これまたいつの間にか身につけていた着物の懐にしまっておいた。ミーハーじゃない、オタク根性が…でもなくて、日本人は物を大事にする質なんだ、うん。

さて最強に意思疏通の障害となっていた装備を強制解除出来たところで、本人からも余所様(冨岡)からも言質の取れてしまった兄にまず質問。いや取り引きはしないけども。


「ねえ炭治郎く(ん、じゃ変か…)……炭治郎。私って…今何歳?」


どうやら私は此度鬼設定らしいからその影響で記憶が少々イカれてるってコトで。つまりは時折すっとぼけ路線で徐々に色々確認取ってこうかと。


「名前、いつも俺の事『兄さん』って呼んでたのに…変わっちゃったんだな。記憶も少し無くなってるみたいだし…。でも、名前とは話せるみたいだからそれだけでも俺は嬉しいよ。――それと質問の答えだけど、名前は俺の双子の妹だから今は俺と同じ13歳だよ」


そう言って寂しそうに笑う兄、に、「そう…ありがとう。…ごめん」口では言いつつ、ってか今生の生い立ちがこの一文で98%くらいは判明したのはいいものの同時に「またかよォォオ」と内心頭を抱えた。ヤバい既に胃が痛い。

…何なんだ、私のこの双子率。
趣味かよ神の。

ただまあ、今回は男女設定らしいけれども。
あとトリップの度問題となるのはお顔立ちなワケだが、さっきも言ったように私は私のままだからそれだけでも色々手間がというか、めっけもんではあるのだけども。
(炭治郎&今生の家族さん達ごめん)。

まあ一卵性で男女って基本ありえないらしいから間違われる程そっくりって事は、たとえ竈門家の子の顔をしていたとしてもないんでしょうけども。

…いやね、顔が登場人物、それも主要人物である程ヤバイったらないからねー…。場合によっちゃ行く先々で幻術やら忍術やらやら…。つまりは全力で誤魔化さんといかんのだよ。

そういや余談だけど昔って双子の順番て逆だったっていうよね。この時代はどうなんだろう。もう施行されてるのかな。
(されてないなら現代もといキメツ学園だったらまさかの逆になったりするんだろうか。ないか)。


「ね、炭…兄さん。私鬼?になったせいでまた変な事言うかもだけど、またその時は色々教えてくれるとありがたいです」

「ああ、それは勿論――って呼び方直してくれたんだな、名前……ありがとう。それと、何で敬語?はは、変な名前」


…私がこの体に入る前、一体どんな風に振る舞ってたんだか非常に気になるところである。だが逆に変人扱いはもはや登場人物紹介に説明入れられそうなくらい過去周辺に浸透してってるからどうしようもなかったりするけど。因みに誠に遺憾である。


「…いや、今の名前に言ったら悪いよな。……ごめん」

「あ、いや、気にしないで。に…兄さん」


何せ“私”としては会ったばかりですからね…。


***


家族に別れを告げた私達は道ゆく先の親切な村人から籠藁竹を譲り受け(※炭治郎は無理矢理お金を払っていたので正確にはこの言い方は合わない)、今炭治郎は禰豆子を運ぶための竹籠を編んでいる。因みに私の手先では遅々として進まぬというただのお荷物状態にしかならないため、横でちょっと目を輝かせながら「器用だなー」なんて感心しているだけである。ダメじゃん妹とか言わない。

今回の私の素性(※竈門家長女)が割れたところで、私にはもう一つ気になる事がある。私の身に起こっているアレだ。非常事態ともいう。いや異常?
(…って、これが異常って感じちゃってるところがもう異常じゃね?)。

私の空間移動術消滅事件。

私の持ち技の中でも屈指の証拠隠滅術…じゃなくて、便利さを誇るそれが使えなくなってしまったというのは一体全体どういう事なのか。

会えずに終わってしまった事になる――いや、別れが辛くなるからこれで良かったのだろうか――今生の家族を埋葬するために地面を掘った時の力といったら尋常じゃなかった。いやいつものコトなんだけど。
そして先程もそうだったように、冷たいのは平気だった。ご存知の通り鬼滅のスタートは冬からだから、辺りには中々の白が既に積もっていたのだ。
今いる森っつか山はそうでもないけど。

これらの証拠から言える事は、とりあえず怪力――多分瞳が紅い事から吸血鬼らへんから来ていると思われる――は、残っているという事だ。
あと何度も言うようだけど、雪女も。

…試してみっか。


「ねえ兄さん、私ちょっとその辺散歩してきてもいい?」

「え?いや、うーん…出来れば近くにいてほしいんだけど」


あー…それもそうか。だって、自分がいない間に禰豆子以外全員失ったんだもんな…。
…今は炭治郎的には私も生き残ってたっていう風に映るのでしょうけども。

……仕方ない。炭治郎が可哀想だから彼の目の届くところにいる事にしよう。これから変なコトしまくるワケだが、よくよく考えたら今回始めっから人外なコトは割れてるのだ。これから起こる(す)コト全部、鬼の変貌のせいにしとけばいいだろう。
あれ意外にこの世界って過ごしやすい…?


「そうだ、名前!」

「うおっ、どしたの突然」

「さっきの人が言ってただろ、外にいて平気なのか?もう日が差し始めてるぞ!」

「ああ…その事。いやまあ、辛い事に変わりはないんだけど…でも炎天下とか長時間でなければまあ平気?みたいな」

「えっそうなのか?…うーん、鬼でも平気な場合があるって事なのか…?」


いや、それは私とのちの禰豆子ちゃんだけだと思います。私の知る限りだけど。
そして禰豆子ちゃんのが大分私より日光強いと思います。

だって克服ゆーてたし。


「あっじゃあ兄さん、私鬼になった事で何が出来るようになったか知りたいからちょっとそこで色々試してみるね。ナニが起きても気にしないで、それらは全部鬼の血のせいだから」

「ああ、それでここから離れたがってたのか…って、何か今変な言い方だったような…」


悩む炭治郎はそのまま置いといて、彼が竹籠を完成させている間大胆に検証してみた結果ですが。
(炭治郎が後ろでもんげー顔になっていたコトには気づかなかった)。

まず魔術は氷雪系しか出せなくなっていた事からハーフエルフはあぼんで、ただ余談だが一見しただけでは雪女としての能力の残り滓に見えなくもなかったりして…、

当然(魔)術といえば私の場合ハーフエルフの血に9割頼っていたところがあったから、例えば見た目におかしいとこを隠す術…幻術や忍術は使えなくなっていて……、

ならば人魚はどうだと近くにあった川に頭っからつっこんで息が続くか試してみたら見事に溺れかけ………、

あんま使うコトもなかった霊能力は文字通り0能力となり…………、

あとは私にとってなその術の使い勝手の良さから死活(逃亡)問題ですらある悪魔…は疎か、天使の能力も見事に消滅していて…ってあれ?て事は多少ある意味日射しには強くなったと…いや、ここは日射しが苦手なのと得意なのが同時に消えたのだから結局プラマイゼロになるのか?いやむしろ多少はカバーしてくれてた天使が消えたのだからむしろ余計辛いって事なんじゃ?うわ余計この世じゃ鬼って疑われるんじゃね?あ、死んだ……………、

あーっ、これは残ってるのを言っちゃってった方が早い。何せ私だもんな。どんだけ人外の血入れられて来たと思ってるんだよっていう。いや、それももう過去形なのか。
しかしまさか、こんなとこでさっきの「普通に生きてー」なんて希望が叶うとは思わなかった。いや、二つ残ってるけどな人外。

吸血鬼と、雪女。

…つまりはそういう事らしい。

よーするに、後からくっつけられた悪魔と天使が外され、ならば二回目の人生時の身体に戻ったのかと思いきや、ハーフエルフ人魚霊能力が消えてましたと。
冨岡さんの気配を探れたのは実は悪魔の食事が故にどこに何人いるか等と嗅ぎ付ける事の出来る能力、魂の波動を感知していたとかそんなコトはなく、ただ単に吸血鬼の五感が残っていただけだった。
怪我の治りが異常に速いのもそういう事だったのだろう。

…もう大抵の事には驚かないと思っていたけれども、まさかのまさかでこんなパターンも存在するなんてよ。おばちゃんびっくりだよ。
人生長生きしてみるもんだな。してるけど。


「…一番強かった要素が残ったのかな」


ここ“鬼”滅っていうくらいだから同じ鬼つながりって事なんだろうかそうなんだろうな。まあその考えで行くと雪女あぶれるけども。…あいや、血鬼術のために残しといてくれてるとか?誰がって、神もしくは、運とか偶然とからへん。因みに間違っても奇跡は含まれない。

…なんてのは冗談としても、所詮私は自らの血統を勝手される(のと世界を飛ばされる)、目に見えない力には抗えないのである。…身を以て勉強した!(今更!)。


「…にしても、お腹空いたな…」


考えたら悪魔が消えたって事は、これからは夜、外にいても意味がないという事になる。つまり月の光では腹を満た(誤魔化)せない。
元々相性の微妙だった天使のごはん、日光も右に同じだ。ていうか論外だ。

背後で大木がズゴォォンと倒れた(魔術は死んだが適当に蹴飛ばしてたらこうなった)ところで「お、おーい名前…」どこか顔を引き攣らせた兄から声がかかった。…なんかガン見されてたみたい。でもカゴは完成している…マジ器用。

とりあえず、あと数刻で日は暮れるのだが、このまま先を急ぐらしい。
目指すは狭霧山である。
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