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【灰男での彼女の生い立ち】



特にさじ加減を間違えたワケでもない魔術(まァ前の所では別物として見られていたが…)が何故か爆発。

自分の発したモノなのにその辺の大机を盾にする羽目に陥っていたら、次の瞬間、久しく経験していなかったアノ洗濯機にブチ込まれたかのようなきりもみ感。

ペッとばかりに洗濯機から吐き出された私は、一緒に連れてきてしまったらしい大机(折れ気味)のせいで受け身は取りづらかったものの、修業(むしろ死闘)の賜物、地面に接吻するだとか、打撲一つこうむるコトもなく着地した。

ハズだった。


「ペッペッ…!なっ何だここ…つ、土!?」


周りが土じゃなければ。

何やら今回の私は埋められてのご登場らしい。いやこの場合生き埋めか?暗いし狭いし身動き取れないし。いや頑張るけど。身動き。じゃなきゃマジでご臨終してしまう。
世界にペッされるんじゃなくて私がペッするとか何事。そしていきなり事件臭とかどゆ事。

ていうか新しいな、トリップ先が土の中とか。いやこの場(略)墓の中か。夢小説ばっか読んできたアレな人生(むしろ生前)だったけど私の見てきた中ではコレは初めてなパターンな気が…嬉しくないが。っていやいや、そもそも夢かどうかまだ決まったワケじゃないな。望みは最後まで捨てたくない。ここまで来たらいっそおうち帰りたい。
だってトリップ…何度かしてきたけどマジで萌えとか言ってる場合じゃなかったよ。時にはオトモが胃薬で時にはほぼ毎日自分で自分に回復魔法かけてなきゃ生きてられないとか夢どころじゃないよ下手すりゃ命の危機だよ。つまりそろそろお腹いっぱいなワケですよ。お年寄り(言っててつらい)は腹七分目でちょうどよいのだよ。

このままでは私の未来の姿は肥やしくらいしかないので、どうやら仰向けに寝かされていたらしい私は片手を上に向かってズボッと突き出してみた。どうでもいいが誰かが見てたら多分ホラーだったと思う。そしてそうなったらきっとゾンビデビューしてしまう。あの、もうこれ以上めんどくさい設定要らないです…。
(雪女だの吸血鬼だのその他etc.…に加えてゾンビとか…)。

土をせっせとどかす事しばらく。
幸い浅い所に埋めてくれてたらしく…って浅いも何も埋められてるやん。私。それはともかく、おかげで特に人外技を駆使する事もなく生還、脱出する事が出来た。

ぷはっとか言いつつマジゾンビよろしく、むしろ貞子さん辺りと張り合えそうな感じで墓(仮)から這い出る。息継ぎは残念ながら人外である以上特別苦しいなんて事もなかったワケだけど気分的に。空気うまい。酸素最高。


「…うそ。墓?マジ墓?」


…そして私が這い出た先なのだが、案の定盛り上がってたのか遺体(笑)が発掘()された事により崩れた土の山と、枯れた元は花だったらしきモノがお供えされていて、マジもんじゃんと戦慄せずにはいられなかった。




――なんて、ガクブルしてるだけなら良かったんだけど。

何回振り返ってみても私の埋まってたそこはお墓で、周りも、余所様のお墓こそないものの、普通に獣だったものと思しき骸とか転がってたし、というのもここはどうやら林だか森だかのド真ん中だったらしく、人はいないし、トドメに空も暗いしで、私は逃げるようにその墓地をあとにしたのだった。
色々と魔に属していても怖いものは怖い。

一体今回の私はどこは勿論、どんな状況に陥っているのだろうか。


***


私が使うかどうかはまあ言わずもがなだが(溶ける)おこたにすら使えそうにない(そもそも和風ではない)大机をそうそうにその辺に(不法)投棄して逃げ…歩く事数分。どうでもいいが私がトリップしてからの一瞬とはいえ大机と一緒に埋まるとかいうこのシュール。

私が埋葬されていたのはどうやら街外れにある裏山だったらしく、暫くすると街に入る事が出来た。…一文無しのアイテム無しだから就活しない限りどうしようもないが。
…しまった、野宿だというなら却ってさっきの場所の方が良かったか?ここでやったらホームがレスな人になってしまう。いや現在進行形でその通りなんだけども。ここに来てからの最初の称号がそれとか。見た目(だけ)は女子高生だから非常に残念だ。そして何の効果もなさそう。むしろ歩くごとにダメージくらいそう。

あそこで一人とか心細くてつい明るい方明るい方、波動を感じる方感じる方へと来ちゃったんだよな…。後者はどうやってって、一応言っとくと悪魔ってのは人間の魂が好物なもんで人(の魂)の気配には敏感だからさ。何なら会った事のある人なら波動の形確認済みって事で誰かまでもわかるとかいう。さながら「プライバシーとか某知らないでござる。」…そんな、ことに戦いに於いては反則且つズルい能力だ。

そんな私は街全体をチラ見っつかチラ視してみたワケだが、当たり前なんだろうが知り合いの気配は皆無だった。
もしかしたら前の所(ゲーム)のどーっかに、つまりは『現地ならではの原作には未登場〜』なんていうオリジナルな街に飛ばされただけかも――。…なんてそんな淡い期待は、木っ端ミジンコになった。

というのも、そんな願望を抱くくらいには周りの建物や人々の顔立ちがパッと見西洋だったからだ。(前のトコは西洋寄りだった)。
しかし波動感知とかいう見るじゃなくて視るー、なさながら透視上ではなく、実際の視界で見ても希望は崩れ去ったのだとわかった。

看板等、街じゅうに使われてる言語が英語だったから。…「Oh!」とでも言えば良いんだろか。英語なだけに。

しかし英語と来たか…しまった読めねー。私の英語力ナメんなよ、所詮勉強など試験や受験の時だけ。アヒルどころか棒の危機よ。
…私は人外語覚えんので燃え尽きたんだあああ!(例:エルフ語)。外国語どころかもはや地球語ですらなかったそれら。二回目人生で学んだそのコらは、使いこなすのに私の頭では軽く(云十)年単位はかかり…とそんなコトは置いといて。

…これは慣れるまで人外能力に頼るしかない。因みに天使の。言葉が通じなくともむしろ人間以外でも会話OK、意思疎通が図れるってやつ。これまた反則だろうと青狸のコンニャクみたいだろうと使えるようにされたのなら出し惜しみしていてもしょうがない。
言葉通じない→物売ってもらえない→そして餓死。そんな鬱展開からのバッドエンドとかイヤすぎる。スチルないよ。あっても悲惨だよ。

言語は何とかなる(する)として、ここで特筆するべきは街全体が飾りつけられている事だろうか。赤や緑の色合いからしてクリスマスらしかった。私は雪女だとかであんまそうは感じない…つか気にならなかったんだけど、そういえば辺りには雪が残ってるし、つまりはそれくらい寒いという事だから時期的に見ても多分そうだろう。…そういった私の中の常識が通じるならの話だが。

そして本題なのだが、結局ここはどこなのだろうか。
建物人種、言語だけじゃイマイチ決定打に欠ける。

でも……もしかして、マジで今回はただ外国に来ちゃっただけだったりするのだろうか。周りみんな外人さんなだけで頭の色とか目の色が突飛な人も今のところいないし…。って今は私が外国人か。

容姿も容姿で、例によって薄氷仕様の鏡(見づらい)で姿を確認するに地上へ落っことされた(下から上だったけども)時と同じ姿だったし。つまり(異常)美人設定のままに齢は17、18。羽根付き。エルフ特製トンガリ耳付き。ていうか私的人外特徴全部付き。つまり墓にはいたが転生は疎か、成り代わりや憑依でもないという事になる。
そして今の私は、例の如く元の顔に忍術にて変装中だ。だってやっぱ自分の顔が一番落ち着くんだもの…。あとそのままの顔でふらふらしてたら早速路地裏に連れ込まれそうになったので。中身が残念でも入れ物は造りモノなおかげ(せい)で自分で言うのも何だがまあそうなるっていう。因みにチンピラさん達は多分今も露天でのびていると思います。

とりあえずそうやって埋められていた私は、当然の事ながら頭っから足先までどろどろだった。しかもこちらに来る前爆風にも巻き込まれたもんだから、怪我こそ無いとは言ったものの元々ボロボロでもある。とりあえず頭は大爆発していた。
反射的に毎度おなじみ、防御術は身に纏ったのだが、なまじ術が自分のモノだったために相殺しきれなかったのだ。文字通り矛盾。

…しかし今回そんなだったという事は、だ。三回目人生であるこの長い旅のスタート時、地上に飛ばされた際格好が整えられていたというのは…。それからすると今更だがマジで外的要因が皆無の可能性が出てくるんだけど。
…や、そもそも前の時からどうだったんだろか。え、まさかの思い込み?実は最初だけで、以降は私の体質に因るだけだった?うわ、それはそれでショックなんだけど。

…それはともかく、そんなボロ雑巾な私は一応、ここに来る前に水系魔術(冷水)をなんかもう全身茶色すぎて服の上からでいいやと、女子とか捨てて頭からザッバーと被り流せるだけ流してきてある。因みに乾燥はこれまた魔術で単純にそれらの水分を蒸発させればいいだけなので自然乾燥させるまでもなくそれも済んでいる。故にドライヤーとか無くても特に問題なかったのだ。いやま、厳密に言えば熱いし溶けるしで浴びられないんだけどね。そして元が人外である以上風邪の心配もない。引きたくてもそう簡単には引かないから。

そんなだから、格好という点では道行く人に声をかけるのに夜という時間を無視すれば特に問題はなかった…ハズなのだ。まあかけると言ってもここがいつも通り異世界だとするならば安易に現在地を訊くわけにもいかないから何訊こうって感じなんだけど。就活に関しては明るい時間にやるべきだろうし。
何故現在地を訊かない方がいいのかと言うと、異世界人だとバレると危険だから。その道の人間にバレたら最後(むしろ最期)、裏社会からの逃亡生活は必至だろう。夢小説でもよく狙われてたしねーまあ私にそんな追い回す価値があるかどうかは別として。

そして夢脳すぎるが故にこれから取るべき行動について無駄に悩みつつ、かれこれ数十分は辺りをさ迷っていたワケだが…。

気づいた時には既に遅く、私はまたしても路地裏…ではなく街のド真ん中ではあるものの、まことに怪しい軍団に囲まれていたのだ。…自分の学習能力の低さに笑えてくる。(波動感知?何のコトかな?)。

…そしてそう、今思えばここから既に私の災難は始まっていたんだと思…。

って、ちょ、これなんてデジャ
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